2016 Fiscal Year Research-status Report
アイ・トラッキング(視線追尾)を用いた新しい認知症検出技術の開発
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16K09082
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
川口 和紀 藤田保健衛生大学, 保健学研究科, 講師 (00508468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 恵子 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 准教授 (10440695)
高橋 宏 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (10750581)
刑部 恵介 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 准教授 (30290167)
山崎 一徳 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 助教 (30733399)
鈴木 めぐみ 藤田保健衛生大学, 保健学研究科, 准教授 (40387676)
北口 暢哉 藤田保健衛生大学, 保健学研究科, 教授 (70508077)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 認知症 / 視点 / 早期 |
Outline of Annual Research Achievements |
【視線計測センサによる視点追尾の検討】認知機能と視点追尾能力の関係を明らかにするため、視線計測センサを用いた計測方法の確認を行った。視線計測には、被検者に眼鏡やヘッドセットにセンサを装着せず計測可能な非接触型センサを用い、瞳孔-角膜反射法にて視線計測を行い、計測データをPC内に記録・保存するプログラムを製作した。さらに計測データをもとに、被験者の視線をPC画面上のマウスポインタの操作に置き換えるプログラムを製作し、同時にそのデータ(x-y座標)を数値として記録・保存するプログラムも製作した。これにより、被検者の無意識な状態での視線計測に加え意図的な視線動作と追尾についても計測可能となった。【圧力分布センサによる体圧分布の検討】認知症患者では、受診時などで施行される問診時において回答に窮した場合、家族である随伴者に同意を求めたり、回答の助けを求める行動をとることが、しばしば観察され「取り繕い」と呼ばれる行動のひとつとされる。このような時、患者の姿勢は座位のままであるが大きく上半身を捻ったり、振り向く動作を行う。実際には大きな動作をとらなくとも、身を捩ったり姿勢を変えようとしたときには座席面に対して下肢(大腿部)の動作により圧分布変化が生じるため、この圧変化を捉えるため座布団タイプの圧力分布センサを用いて、被検者が坐位をとった場合の体圧分布について検討を行った。健常被験者15名,性別:男性,体重:約50~90㎏を対象に首のみ振り向き90°120°(左右)と上半身を捻る振り向き90°120°(左右)を行った。この結果、首のみの振り向きは座席面の圧力変化として計測できなかったが、上半身の左振り向きでは右坐位面に、右振り向きでは左坐位面に圧力の変化を計測できた。これにより、問診時に見られる代表的な取り繕い動作である上半身の捻りや身の捩りを、圧力分布センサで計測できることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のところ、被検者にとって受動的な視線計測・記録システムに加えて、被検者が能動的に視線を動かすことで、PC画面上のマウス・ポインタを動作させるプログラムが完成したことで、これまでにない新たな認知機能検出課題と期待できる。また、坐位での体動による圧分布の変化が計測可能となったことから、従来の問診やPCやタブレット端末を用いた検査時において、被検者に「検査されている」という心理的影響を与えることなく、被検者の「視線」と「体動」を計測できるシステムが完成している。また、超音波による頸動脈の血流測定については既に臨床にて計測を行っている施設に赴き、計測の指導を受け当施設にて計測可能な状態にある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、若年、中年、高齢健常者での問診やタブレットによる認知機能テストと同時に視線計測も行い、それぞれ3群の結果を対照データとする。また、認知症外来への受診患者の協力を得てMCI(軽度認知症)患者や、認知症患者にも同様のテストを行い陽性対照とし比較・検討する。本研究の目的である、早期MCIの検出の判定には経時的な追跡調査が必要となる可能性が考えられる。
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