2017 Fiscal Year Research-status Report
学校教員のストレスマネジメントプログラムおよびその支援体制に関する研究
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16K09094
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 健也 東京大学, 環境安全本部, 助教 (50739133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 靖司 東京大学, 環境安全本部, 教授 (00301094)
黒田 玲子 東京大学, 環境安全本部, 助教 (50553111)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | メンタルヘルス / 教育職員 / ヘルスリテラシー / 産業保健管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
教職員のストレス要因に関する先行研究では縦断研究の知見に乏しいことから、介入プログラムのデザインに先立ち症例対照研究を行った。有効回答数は症例対照合わせて52例であった。曝露要因としては、発症時の業務状況・労働時間・職場の支援状況および一般向けヘルスリテラシー尺度(CCHL)を用いた。その結果、発症時の症例のヘルスリテラシー尺度は対照群よりも有意に低く、睡眠時間・疲労の解消度合いの間・校務分掌の負担感に有意な関連を認めた。同僚の支援の有無と発症との間に有意な関連を認め(オッズ比(OR):4.5)、またヘルスリテラシー尺度と疾患発症との間に量的関係が認められた。また、ヘルスリテラシーの低い人は時間外労働によるORが高くなる傾向が示された。以上のことより、教職員のストレスマネジメントとして、横断研究による先行研究における「職場の支援」の有効性が示された一方で、ヘルスリテラシーの醸成が時間外労働の削減等を介して疾患の発症予防に寄与する可能性が高いことが示された。 上記研究結果をもとに、介入プログラムの先行研究について文献調査を実施した。教職員を対象とした介入プログラムとして、オンサイトによるグループワークによるストレスママネジメント研修の効果を評価した研究が多くあるが、いずれも介入効果としては限られた結果であった、また、教育学の分野で学級経営自体に介入した研究などが認められた。なお、教職員を対象としたヘルスリテラシーの向上を目的とした研究結果は見当たらなかった。 介入プログラムの実施に際して、そのフィージビリティや内容の修正を目的に、学校管理職に対するフォーカスグループインタビューを2回実施した。その結果、現在の働き方改革における職場環境の変化だけではなく、教育職員個々の変化の必要性とその手段としてのヘルスリテラシーの意義について、概ね合意が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
介入研究に際して、近年の「働き方改革」にかかる現場実態調査が、当該年度の学校現場に予想以上の負荷となったこと、また、介入プログラムと「働き方改革」との間に重複する施策がみられらたことより、効果測定の際のバイアスを避ける目的から、介入プログラムの見直しが必要と判断したため、介入プログラムの実施を延期した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、調査フィールドとの調整により介入プログラムの実施を予定している。また、学校職場における産業保健管理について、良好事例等の収集を継続して実施する。特に、学校医を教育職員の健康管理の担い手として活用することの是非について、医師会等を介した調査について現在計画中である。その結果をもとに、学校職場における産業保健管理体制等に関するガイドラインを提案する。 なおこうした活動を介して、上記介入プログラムやその効果等について広く情報提供を行い、他の教育委員会等での実施について募集を図る予定である。
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Causes of Carryover |
介入プログラムの実施延期およびその内容の修正が必要となったため、プログラム構築発注を延期したことによる、
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