2018 Fiscal Year Research-status Report
学校教員のストレスマネジメントプログラムおよびその支援体制に関する研究
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16K09094
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 健也 東京大学, 環境安全本部, 助教 (50739133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 靖司 東京大学, 環境安全本部, 教授 (00301094)
黒田 玲子 東京大学, 環境安全本部, 助教 (50553111)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 産業保健管理 / 学校教職員 / 健康管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)前年度までに収集された知見を基に、教職員のヘルスリテラシー向上のための介入プログラムを構築し、パイロット調査を実施した。介入プログラムは、睡眠の質の向上、同僚性の向上、リラクゼーション、アクションチェックリストによる参加型職場環境改善およびレジリエンス向上で構成されたプログラムを、オンサイトでの研修1回およびweb上での教育ツールとして開発し、介入群に提供した。その結果、中間評価の時点で介入群でのGHQスコアとピッツバーグ睡眠スコアの改善傾向が認められた。 2)学校における産業保健活動ガイドライン構築の基礎資料の構築を目的として、前年度までの教育委員会調査を基に、産業保健活動が活発に実施していると考えられる自治体へのインタビュー調査およびグッドプラクティスの収集を行った。今年度は3自治体に訪問し、ストレスチェックの職場への効果的なフィードバック、教職員の健康にかかる啓発としての情報提供手段、退職後教員と地域医療との連携による早期介入システムなどの好事例の収集がされた。また、活動が活発な自治体の特徴として、産業保健業務にかかる実務や経歴を有する嘱託産業医がおり、教育委員会事務局への適切な助言がこれらのグッドプラクティスの基盤にあることが示唆された。 3)東京医師会の協力の基に、学校教職員に対するの産業医活動の有無およびその実務内容にかかる調査を行なった。嘱託産業医資格を有する医師のうち、教職員の産業保健業務に関わっている医師は約15%(230人)であり、その多くは都立高校と特別支援学校の産業医と考えられた。また、実務内容で最も多かったのは定期健康診断結果の確認と事後措置であったが、多くの業務は実施率50%未満であり、民間事業場と比して低い実施率であり、学校職場における産業保健管理体制の再構築とそのためのガイドラインが必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の第一の目的である介入プログラムの開発については、パイロット調査の開始が、調査フィールドとの調整結果から、当初の予定より遅れて平成30年度後期からの開始となりったことが、遅延の理由である。現在最終的な効果判定と介入プログラムの修正に係る作業を基に、本調査の準備を進めている。 本研究の第二の目的である学校職場の産業保健管理に係るガイドラインについては、現在基礎資料は概ね分析がされているが、好事例の収集にかかるインタビュー調査にかかる時間の確保が不十分であった。次年度において好事例の収集及びその整理を中心に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
パイロット調査の検証を6月までに行い、学校繁忙期および夏季休暇を過ぎる9月以降の本調査の実施を企画している。本調査においては、現行のストレスチェックの標準問診票とともに教職員のストレスマネジメントに有効な調査項目の検証も予定する。 なお、引き続き好事例収集に向けたインタビュー調査を継続し、現在作成中の「学校における産業保健管理のガイドライン」の内容向上を図る。
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Causes of Carryover |
介入プログラムの改修および調査費用、またインタビュー調査にかかる旅費として使用するため。
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