2017 Fiscal Year Research-status Report
ケモカイン受容体会合分子フロントが制御する細胞/分子シグナルの解析
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16K09095
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺島 裕也 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (90538729)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 予防医学 / ケモカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者が発見した新規分子「フロント(FROUNT)」は、ケモカイン受容体の細胞内領域に結合する遊走シグナル促進分子であり、これまでの研究により、がん・炎症性疾患の発症/増悪化に関与していることを見出してきた。本研究では、フロントが関わる疾患の発症/増悪化に結びつく細胞現象およびこれを引き起こすフロント周辺で変動する細胞内シグナルについて明らかにするため、フロントにより制御される細胞現象およびフロント周辺の細胞内シグナル伝達分子の解析を実施する。当該年度では、前年度に明らかにしたFROUNT欠損細胞に特徴的な形態変化について、PI3K阻害剤の影響を解析したところ、FROUNT欠損およびFROUNT阻害剤処置と同様にケモカイン刺激依存的な形態変化が減弱したことから、見出した現象はPI3K依存的であることが示唆された。さらに、マウス担癌モデルがん組織よりマクロファージを調製し、細胞形態を観察したところ、野生型がん組織由来マクロファージは葉状仮足を多数形成しているのに対して、FROUNT欠損マウス由来マクロファージでは葉状仮足が著明に減少し、針状仮足様の形態を示す細胞が多く認められ、in vitroで見られたFROUNT欠損およびFROUNT阻害剤処置細胞と同様の形態変化がin vivoにおいても観察された。さらに、FROUNT特異的抗体およびリン酸化FROUNT抗体を用いてFROUNTの細胞内局在解析を実施したところ、複数の細胞種において、細胞質・細胞膜・核・骨格の複数の細胞内器官抽出液でFROUNTタンパクのバンドを検出した。細胞膜におけるFROUNTの局在は、高塩濃度条件において膜分画から遊離することから、膜貫通型ではなく膜に結合していることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度計画とともに、30年度計画の内容について前倒しして実施できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に明らかにしたFROUNTタンパクの細胞内局在について、ケモカイン刺激後の経時変化を解析する。
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Causes of Carryover |
今年度は当初計画以上に使用したものの、昨年度の未使用額があったため、次年度使用額が生じた。未使用額は来年度中に研究目標を完遂するために効率的に使用する。
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Research Products
(6 results)