2018 Fiscal Year Annual Research Report
Cellular and molecular signals mediated by chemokine receptor-associating molecule FROUNT
Project/Area Number |
16K09095
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
寺島 裕也 東京理科大学, 研究推進機構生命医科学研究所, 講師 (90538729)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 予防医学 / ケモカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者が発見した新規分子「フロント(FROUNT)」は、ケモカイン受容体の細胞内領域に結合する細胞内シグナル促進分子であり、これまでの研究により、フロントは単球・マクロファージに高発現しており細胞遊走シグナルを促進しがんおよび炎症性疾患の増悪化に関与していることを見出してきた。フロント阻害剤について細胞増殖に対する影響を評価した結果、WST-1アッセイによる細胞増殖試験およびLDHアッセイによる細胞傷害試験において変化は認められず、細胞増殖・傷害に対してはフロント阻害による影響は確認できなかった。また、これと同一の阻害剤処置条件にて細胞遊走活性の低下が認められた。この遊走活性はPI3K阻害剤で抑制されたことから、PI3K依存的な細胞内シグナルを介することが示唆される。これらのことから、フロント阻害により細胞増殖および毒性に依存することなくPI3Kを介した細胞遊走シグナルを阻害していることが考えられた。また遊走活性に加えて、各種の刺激に対する活性化状態を解析するために、腫瘍におけるマクロファージの細胞表面マーカーの発現についてフローサイトメーター解析を行った結果では、フロント欠損マクロファージにおける活性化マーカー分子の発現減弱が認められた。以上より、フロントは細胞遊走シグナルのみならず、細胞活性化シグナルにも関与しており、フロント阻害剤の作用機序としては、がん細胞の増殖に直接的な影響のない条件においても、微小環境におけるマクロファージの遊走および活性化を制御することで腫瘍抵抗性の環境を構築することでがんの進展を抑制することが示唆された。
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