2016 Fiscal Year Research-status Report
一般住民における非アルコール性脂肪肝の進展に関する分子疫学研究
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16K09100
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
指宿 りえ 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (90747015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井戸 章雄 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (30291545)
嶽崎 俊郎 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50227013)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脂肪肝 / NAFL / FIB4 index / 高血圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、肥満やメタボリック症候群の増加に伴い増加しつつある。この中には脂肪肝炎や肝硬変、肝癌に進展するものがあるが、その病態は必ずしも明らかではなく、ハイリスク者や進展予防に関するエビデンスは限られている。本研究では、一般住民における非アルコール性脂肪性肝疾患の進展に関わる環境・宿主要因を明らかにし、その進展予防対策に質することを目的とする。2005~2009年と2012年の日本多施設コホート研究ベースライン調査に参加し、健診で腹部エコー検査を受けた男女6,609名について、生活習慣情報、健診結果、動脈硬化検査(CAVI)と腹部超音波検査結果からなるデータセットを完成させた。まず、横断的研究を行い、ベースライン時における、要因と脂肪肝リスクとの関連を検討した。その結果、BMIと飲酒がそれぞれ独立して、脂肪肝リスクと関連していることが明らかになった。次に、NAFL(非アルコール性脂肪肝)を症例、脂肪肝を有さない対象者を対照として、症例・対照研究を行った。その結果、男女ともにBMIと脂質異常がNAFLと有意に関連していることが明らかになった。さらに、脂肪肝の病態進展(肝線維化)の程度を評価するための指標としてFIB4 index値を用いて、3グループ(低・中・高)に分類し、NAFLと生活習慣病や生活習慣との関連についてロジスティック回帰モデルを用いて、オッズ比で見積もった。その結果、男女とも高年齢と高血圧あり、男性では多い日常生活活動量、女性では喫煙ありが、高いFIB4 index値と関連していることが認められた。そして、これら要因は脂肪肝の進展に関連している可能性が示唆された。一方、動脈硬化の指標であるCAVI値とFIB4 index 値との関連は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に加え、今年度は、追跡全期間中に健診で受けた超音波検査結果情報を継続的に収集するために、上記対象者全員に情報提供に関しての依頼文を送付した。オプトアウト形式での既存資料収集に関して、拒否されたのは6名(0.09%)のみであった。また、SNP 解析は対象者を絞り込んで行う予定であり、そのためのDNA抽出は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、健診機関から腹部超音波検査結果を含む健診結果を入手し、よりきめ細かい情報をもとに、脂肪肝の進展に関する環境・宿主要因の解析を進めていく。
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