2016 Fiscal Year Research-status Report
職域におけるビッグデータを用いた蛋白尿に関する疫学研究
Project/Area Number |
16K09103
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
上原 新一郎 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (00628696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 朝茂 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (10381980)
佐藤 恭子 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (00381989)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 疫学 / 慢性腎臓病 / 危険因子 / 健康診断 / 蛋白尿 / ビッグデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病において蛋白尿は末期腎不全や冠動脈疾患の危険因子であると先行研究で報告されており、予防対策は世界的に急務である。蛋白尿は一過性に異常所見を認めることがあり、蛋白尿の危険因子を解明するためには、複数年における尿検査結果を考慮することができる縦断研究が必要である。本研究は住民健診と比較して追跡率の高い職域健康診断で、複数の事業場の集約した年間60万人もの健康診断ビッグデータを用いて、蛋白尿の危険因子、特に生活習慣や生活習慣病について包括的に研究することを目的としている。 平成28年度はデータベースの整備構築、データのクリーニングを行った。1年毎の健康診断の結果(身体計測結果、血液検査結果、尿検査結果、生活習慣歴や治療歴、現病歴の問診結果)の整備、クリーニングを行い、生活習慣と慢性腎臓病の関係について検討した。また、毎年のデータを結合し経年的なデータベースの構築を行った。データの管理、解析に関しては、大阪市立大学大学院医学研究科産業医学にて行った。 平成28年度は「生活習慣と慢性腎臓病の発症」についての研究に関して、「飲酒パターンと蛋白尿の新規発症との関係」を第89回日本産業衛生学会総会(2016/5/25;福島)で学会発表を行った。適度な頻回飲酒は蛋白尿発症のリスクを下げるが、過剰飲酒は蛋白尿の発症リスクを上げる結果であった。また、「Blood pressure components and the risk for proteinuria in Japanese men: the Kansai Healthcare Study」(Journal of Epidemiology;in press)について論文発表を行った。日本人男性における血圧コンポーネントと蛋白尿の発症の関係を検討したもので、血圧コンポーネントのうち収縮期血圧と拡張期血圧が、蛋白尿発症の最も有用な予測因子である結果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題1.2005年度以降の単年度データ整備を行う(研究代表者である上原、研究分担者である佐藤・林);職域の健康診断結果を用いた大規模コホートの作成を行った。1年毎の健康診断結果(身体計測結果、血液検査結果、尿検査結果、生活習慣・現病歴・治療歴問診)のデータクリーニングを行いデータを検討した。
課題2.単年度データを用いて、横断的に生活習慣・生活習慣病と蛋白尿の関係を性別、年齢層別に検討する(研究代表者である上原、研究分担者である佐藤・林);横断研究として単年度データを用いて生活習慣、生活習慣病と蛋白尿の関係を検討した。
課題3.単年度データをクリーニングして結合して回顧的コホート及び前向きコホートを整備する(研究代表者である上原、研究分担者である佐藤・林);単年度データを結合し縦断的な経過を追うためのコホートの整備を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
課題1.単年度データをクリーニングして結合して回顧的コホート及び前向きコホートを整備する(研究代表者である上原、研究分担者である佐藤・林);今後も現在進行中の健康診断データのクリーニングを行い、追加データ結合を行い、コホートの充実を図る。
課題2.整備したコホートを用いて縦断的に生活習慣・生活習慣病と蛋白尿発症との関係を性別、年齢層別に検討する(研究代表者である上原、研究分担者である佐藤・林);喫煙習慣、脂質、血圧、体重やメタボリックシンドロームと蛋白尿の発症リスクを検討する。
課題3.整備したコホートを用いて縦断的に生活習慣・生活習慣病の変化と蛋白尿発症との関係を明らかにする(研究代表者である上原、研究分担者である佐藤・林);喫煙習慣の変化、飲酒習慣の変化、体重変化などと蛋白尿の発症リスクを検討する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた平成28年度の学会発表回数、雑誌掲載数が少なかったため。また、データ保存用の外付けハードディスクを購入しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究では、職域の健康診断データを有効活用することで健康診断に関する費用は発生しない。データ提供される健診実施機関の本研究の重要性と趣旨に賛同があるため、看護師や健診担当医師の人件費等は、研究費として必要経費に計上していない。
統計ソフトSTATAのアップグレード(@200,000円)、統計ソフトIBM SPSS保守契約更新(@120,000円)、データ保存用の外付けハードディスク(@300,000円)が必要である。学会発表に関して、旅費(国内@60,000円×2、海外@300,000円×2)、学術誌掲載料(@100,000円×3)が必要である。
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