2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K09107
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中野 真規子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (70384906)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インジウム / 肺疾患 / 腎 / 肝 |
Outline of Annual Research Achievements |
インジウム(In)曝露による肺障害は、わが国発信の新しい職業性肺疾患である。2013年にIn取り扱い作業者の健康影響防止のため、Inは特定化学物質第2類物質に、またInによる業務上疾患として呼吸器疾患が指定された。しかし、肺以外の毒性評価は知見がなく、肺内Inのクリアランスは遅く、炎症持続が示唆され、腎臓への影響評価は産業医学の喫緊の課題の1つである。本研究の目的は、In取り扱い作業者の規模最大の維持フィールドで、腎・肝の慢性影響が生じるのかを検討する。 平成28年度にIn取り扱い2工場に勤務する作業者(40名)に健康調査を施行し、影響指標として肝・腎機能検査をした。
腎癌のincident caseはなかった。中間解析結果は、平均年齢は40歳、男性34名(85%)、喫煙歴は現在55%、過去22.5%、非喫煙22.5%、平均血清インジウム濃度(In-S)は4.3ng/ml、KL-6 356U/mlであった。対象者をIn-S濃度別4群(低・中・高・超高濃度群:In-S<1, 1≦In-S<3, 3≦In-S<20, 20≦In-S)に分類すると、低・中・高・超高濃度群で、KL-6の平均値は234U/ml、332U/ml、317U/ml、1329U/mlと超高濃度群で有意に上昇した。In-Sと肝機能(ALT、AST、γGTP、ALP)および腎/尿細管機能(Cr、BUN、シスタチンC、NAG、β2ミクログロブリン、α1ミクログロブリン、尿中アルブミン/Cr)の間に有意な相関は認めなかった。In-S濃度別4群においてシスタチンCの有所見は 0/20(0%)、2/13(15.4%)、0/4(0%)、2/3(66.7%)と有意に上昇したが、それ以外では関連を認めなかった。さらに対象数を増やしながら、最終的には糖尿病、高血圧、飲酒などの交絡要因も考慮した解析をする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、2工場(40名)で調査を行い、血清インジウム濃度、間質性肺炎のマーカー(KL-6など)、肝機能(ALT、AST、γGTP、ALP)、腎/尿細管機能(Cr、BUN、シスタチンC、尿中Cr、NAG、β2ミクログロブリン、α1ミクログロブリン、尿中アルブミン)等を測定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は疫学調査であり、研究内容、研究費の用途ともに平成29年度も平成28年度同様に本研究調査(曝露指標:血清インジウム濃度。影響指標:間質性肺炎のマーカー(KL-6など)、肝機能検査(ALT、AST、γGTP、ALP)、腎/尿細管機能検査(Cr、BUN、シスタチンC、尿中Cr、NAG、β2ミクログロブリン、α1ミクログロブリン、尿中アルブミン)等を推進継続していく予定である。 検討内容は、腎癌の新規罹患者数、Inの慢性影響としての腎機能障害および肝機能障害を評価する。
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Causes of Carryover |
助成金額は、ほぼ使用額に等しい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H29年度は、旅費、人件費、測定費、健診を行うために付随する物品購入のために使用する予定である。
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