2017 Fiscal Year Research-status Report
呼気一酸化窒素測定を用いた小児住民の二酸化硫黄曝露による影響の評価
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16K09108
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岩澤 聡子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師(非常勤) (10570369)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 二酸化硫黄 / 疫学研究 / 呼気一酸化窒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
高濃度の二酸化硫黄(SO2)を含む火山ガスの大量放出を伴った噴火により2000年全島民の島外避難を余儀なくされた三宅島で,火山ガス放出が続く中,避難指示解除となった2006年2月より毎年健康診断を実施した.呼吸器影響評価のひとつの項目として呼気一酸化窒素濃度(FeNO: Fractional nitric oxide concentration in exhaled breath)測定を2008年より継続的に行った.今回,島外の二酸化硫黄の観測値が環境基準を達成している地域に居住する者を対照群としてFeNO濃度を比較し、SO2濃度との関係を検討することを目的とする. 対象者は健診時点で,いずれも中学2年生とした.三宅島では2008年から2014年の間の各年11月にのべ83名に実施し、対照群は31名であった. 三宅島でのSO2濃度は,定点モニタリング(6地点,5分値)をもとに,各健診前3ヶ月間の平均濃度を算出した.FeNOは,Official ATS(American Thoracic Society) clinical practice guidelineより,35ppbを本研究でのcut pointとした. 各健診前3ヶ月間の平均SO2曝露濃度(ppb)は,2008年から2014年それぞれ,17.6, 17.5, 9.6, 7.3, 8.4, 4.2, 5.0であった.2008年から2014年におけるFeNO有所見率(%)はそれぞれ,50.0, 27.3, 18.2, 57.1, 46.2, 38.5, 50.0であった.対照群では,41.9%であり,いずれの年度との比較においても統計学的有意差を認めなかった.今後,対照群については測定数を増やすこと,また,一般大気環境下の他の集団との比較も検討する必要が考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二酸化硫黄曝露地域在住者のコホート研究におけるデータはすでに獲得済みであり、一般大気環境で居住する小児を対象に新たに調査を行い、現在、比較検討段階にある。本年度は、結果の解析および研究発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は疫学調査であり、研究内容、研究費の用途ともに平成30年度も平成29年度同様に本研究調査(一般大気環境に居住する小児を対象とした呼気一酸化窒素測定)と結果の解析、研究結果の発表を推進継続していく予定である。平成30年度末には、成果報告書を作成する。
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Causes of Carryover |
(理由)効率的な調達を行ったために生じた。 (使用計画)平成30年度は、旅費、人件費、その他結果の解析、報告に付随する物品購入のために使用する予定である。
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Research Products
(6 results)