2016 Fiscal Year Research-status Report
超微量分析法を基盤としたアレルギー誘発・増悪物質が有する経世代免疫毒性影響の解明
Project/Area Number |
16K09113
|
Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
角谷 秀樹 摂南大学, 薬学部, 助教 (00581414)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 環境保健 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の環境汚染物質に関する毒性研究の多くが、高濃度で単回投与し、その投与量に対する比較的短期間の毒性影響についての報告であり、現実の汚染レベルにおける長期間かつ低濃度曝露の研究に関する知見は極めて乏しいのが現状である。これを逆説的に言えば、ヒトの健康は、種々の化学物質毎に規定されている、許容1日摂取量 (ADI or TDI) 以下の量で、毎日摂取している限り、本当に一生涯に亘ってヒトの健康に全く悪影響は出ないのであろうか?乳児から若年者までの健康影響は、環境省は出生子が13歳に達するまでの血液中の化学物質量と各種疾患との関連性を検討する「エコチル調査」により、現在、検討されている。しかし、僅か13年間の調査データだけでは、ヒトの成人期以降の健康影響を評価することは極めて困難である。従って、本研究では、旧来の動物実験における投与量情報のみに由来した免疫毒性評価法とは異なり、免疫反応関与の標的臓器・組織中の化学物質の超微量分析法を基盤とした、新規の経世代的免疫毒性評価法を構築することにより、未解明なアレルギー疾患の解明、具体的には、アレルギー誘発・増悪物質による次世代へ健康影響について検討することを目的とした。平成28年度では、種々の健康有害物質を成獣期もしくは授乳期の母獣に投与することで、新生仔の免疫機能を撹乱することを明らかとした。平成29年度では、昨年度の結果を踏まえ、より詳細な健康有害物質の新生仔の免疫機能へ及ぼす影響について評価する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、種々の健康有害物質が有する新生仔に対する免疫撹乱能を検討することを目的として検討してきた。その結果、種々の健康有害物質が経世代的な免疫毒性影響を有することを見出した。従って、当初に予定していた研究通り、概ね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度までの結果を踏まえ、授乳期のみならず、妊娠期等、投与期間を変更し、種々の検討を行っていく。具体的には、仔マウスよりの血中、リンパ節 (腋下、腸間膜)、脾臓、胸腺等からリンパ球を単離し、T細胞やB細胞等のポピュレーション解析を行う。単離リンパ球にOVAを加え、培養上清に放出されたサイトカイン量 (IL-2、IFN-γ、IL-4、IL-13等) や血中のサイトカイン量、リンパ球の分化・成熟に関わる転写因子 (T-bet、STAT6、Foxp3等) の遺伝子・タンパク質発現量を測定する。
|
Research Products
(15 results)