2017 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病の病態におけるメチル水銀の動態・毒性発現の修飾機構
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16K09121
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Research Institution | National Institute for Minamata Disease |
Principal Investigator |
山元 恵 国立水俣病総合研究センター, その他部局等, 部長 (70344421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 政明 国立水俣病総合研究センター, その他部局等, 部長 (50399672)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | メチル水銀 / 体内動態 / 神経毒性 / 糖尿病 / 糖代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度: メチル水銀の毒性発現の解明において、メチル水銀の生体内動態を明らかにすることがキーである。メチル水銀の動態・代謝の修飾因子の一つとして疾患に伴う代謝異常が挙げられる。従来の研究において、摂取したメチル水銀の各組織への移行・蓄積は疾患由来の代謝異常の影響を受ける可能性が示唆されているが、これまで糖尿病などのメタボリックシンドロームの罹患状態における水銀の動態については明らかになっていない。本研究においては糖尿病に伴う糖代謝異常がメチル水銀の動態に及ぼす影響の解明を目的として、KK-Ay(2型糖尿病モデル)およびBL/6(正常:コントロール)マウスを用いて、Kp値(組織/血漿中の水銀濃度)を指標としたメチル水銀の生体内動態や各組織への移行性の比較を行う。 これまで12週齢のKK-Ay、BL/6マウスにメチル水銀 (10 mg Hg/kg BW) を単回投与し、24時間後の血液(血漿、血球)及び組織(脳、腎臓、肝臓)中の総水銀の測定・解析を行った。その結果、12週齢マウスにおけるメチル水銀の脳への移行性は、KK-Ay>BL/6の傾向が観察された。Kp値の適切な比較を行うためには、メチル水銀の曝露濃度と血中濃度の用量相関性を確認するために、投与したメチル水銀濃度と血中水銀濃度が用量依存的にほぼ比例して減少傾向を示す条件下のデータを用いることが必要である。そこで、今年度は3点の濃度のメチル水銀を単回投与し、2~3週間の3点の血漿中水銀濃度の経時的変動を追跡し、線形性が保たれる用量範囲を確認する実験を行っている。さらに本試験で得られた各組織中の水銀濃度を測定中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
KK-Ay、BL/6マウスグループそれぞれ約一か月の投与・解剖実験が必要であり、得られる試料数(各メチル水銀投与濃度、各タイミング)は非常に多いため、水銀濃度の測定だけでも長時間を要する。さらに、血液(血漿、血球)および各組織中のサンプル処理や水銀分析の条件検討に時間を要する。また、一回の試験の各ポイントにおけるマウスの最大数はn=3なので、統計学的解析を行う上で少なくとも2回以上の試験を実施する必要がある。 今年度は最終年度なので、これまでの実験結果をまとめて論文化したい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はメチル水銀投与後の生体内の水銀濃度の経時的変動に関する二回目の実験を行っている。これらの試料中の水銀濃度の測定を進め、平成29年度に実施した実験データと合わせて統計解析を行い、論文化する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 消耗品の見積もり額と納入額における差額が生じた。 (使用計画) H29年度繰り越し分とH30使用予定額を用いて研究を遂行する予定である。
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