2017 Fiscal Year Research-status Report
買い物環境が高齢者の活動と健康に与える影響についての縦断研究
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16K09122
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
平井 寛 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (20387749)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 運転停止 / 買い物環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者の運転停止の状況,運転停止後の活動状況と地域要因の関連を検討した.高齢者の運転停止は,都市など利便性の高い市町村で多く,農村地域などの利便性の低い市町村で少ないことが示された.また農村地域では運転停止者で外出頻度が低い者が多かった.運転停止をした高齢者のうち,外出環境の良くない地域に居住する高齢者は環境の良い高齢者に比べ活動が制限されている可能性が考えられた.この成果は公衆衛生学会で報告した.またより細かい地域レベル要因の影響をみるため,小学校区レベルの買い物環境と運転停止の関連を検討した.小学校区単位の小売店の1000m圏のカバー人口割合の高さは,個人レベルの健康や身体機能を考慮しても運転停止のしやすさに対し有意に正の関連を示した.この成果は第56回土木計画学研究発表会・秋大会で報告した. 運転を停止した高齢者のうち,どのような高齢者が要介護状態になりやすいかを2時点の自記式調査データと介護保険関連データを結合して作成したデータを用いて検討した.2006年の調査時点では自家用車を運転していた者を対象とし,2010年時点の自家用車運転状況とバスや自転車の利用状況を説明変数,要介護発生を目的変数とした生存分析を行った.運転停止者は運転継続者に比べ,健康や身体機能の状態を考慮しても要介護になりやすかった.また運転停止者の中でも,バスや自転車が利用可能でない高齢者は利用可能な高齢者にくらべ,健康や身体機能状態を考慮しても要介護になりやすかった.この成果は英文誌に投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
買い物環境についての項目だけでなく運転停止状況の項目を含んだ2016年のデータの基礎的な分析が進んだ.また2006年,2010年の複数時点の調査を結合したパネルデータ.さらに介護保険データを結合したコホートデータを用いた分析を進めることができた.15年間の小売店舗のデータを用い,地理情報システム上に15年間の小売店舗の1000m圏の変化を図化することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
地理情報システム上で図化した15年間の小売店舗の1000m圏の変化を用いて,買い物利便の変化による高齢者の行動の変化,適応の状況を,厳しい買い物環境への暴露期間を考慮した分析を進め論文として投稿する予定である.
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Causes of Carryover |
論文の掲載料として確保していたが,論文が採択にいたらなかったため.
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