2018 Fiscal Year Annual Research Report
Cost-effectiveness analysis of revised Integrated Management of Childhood Illness (IMCI) guidelines for childhood pneumonia in the Philippines
Project/Area Number |
16K09123
|
Research Institution | Nagasaki Women's Junior College |
Principal Investigator |
玉記 雷太 長崎女子短期大学, その他部局等, 講師(移行) (40507919)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 包括的小児疾患管理 / ユニバーサルヘルスカバレッジ / 費用効果分析 / 小児肺炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
概要:2014年に世界保健機関によって改定された包括的小児疾患管理(Integrated Management of Childhood Illness: IMCI)の陥没呼吸を示す肺炎治療ガイドラインの費用効果分析を実施した。フィリピンの東北大学感染症研究拠点の先行研究基盤を利用して効率的に研究を実施し、UHCに資するデータをフィリピン保健省熱帯医学研究所に提出した。 方法・結果:同地域で実施している肺炎コホート研究から正確な肺炎発生率など、費用効果分析の基礎となるデータを収集し、時系列事象(患者の症状・受療行動・訪問医療施設・改定IMCI適用有無)にしたがって、各シナリオとその転帰およびその確率・コストを算出した。改定IMCI(家庭治療)となった症例の治療失敗率は3.2%で、改定前IMCI(入院加療)での治療群の2.9%と統計的有意差を認めなかった。また、死亡例は観察されなかった。これらの結果、改定IMCIの治療効果が、改定前IMCIと同等であることが示唆された。また、改定IMCI治療の介入が実施された地域では、病院ではなく一次医療施設での治療が約10%増加し、改定IMCI導入以前の陥没呼吸肺炎治療1例あたり2,135ペソ(約5000円)であった医療費が改定IMCI導入後では1,008ペソ(約2500円)に削減された。 波及効果:これらの結果は、資源が限られている低・中所得国で疾病負荷の高い肺炎に対して、費用対効果の高い保健政策につながる。成果は、国際・国内学会で発表され、また同地域で得られたデータから肺炎関連論文が15報発表された。社会実装の観点から、フィリピン保健省熱帯医学研究所と対象地域の拡大を検討している。研究終了後、研究代表者はJICA専門家(感染症)としてケニアに赴任しており、これらの成果は、アジアの低・中所得国のみならず、アフリカへの波及効果まで期待される。
|
Research Products
(12 results)