2017 Fiscal Year Research-status Report
胎児期、小児期のたばこ煙暴露とアレルギー疾患リスクに関する前向き研究
Project/Area Number |
16K09128
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
和田 恵子 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (00532673)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 受動喫煙 / アレルギー / 胎児期 / 小児期 / 疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
岐阜市において妊婦と出生児のコホート調査を行った。妊娠中のアンケート情報、妊娠中・出産時の母体血・尿、臍帯血が収集された。妊娠中の母体尿を用いてコチニンの測定を行った。アンケートで妊娠中の母の喫煙状況が聴取されており、尿中コチニン値とあわせて、母体の能動喫煙、受動喫煙、胎児へのたばこ煙への暴露を評価した。出生した児の追跡調査では、アトピー性鼻炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患に関する情報を、アンケートで既往や有病の状況を聴取するとともに、the International Study of Asthma and Allergies in Childhood (ISAAC)、the American Thoracic Society Division of Lung diseases (ATS-DLD) questionnaire for childrenなどの疫学調査で世界的に利用されている質問紙を用いて評価した。一部の小児では、出生時の臍帯血IgE値が過去に測定されているので、これもアレルギーの指標として考慮する。 愛知県の幼稚園児を対象とした調査では、アンケートにて、父親、母親、他の同居者の現在の喫煙状態に加え、喫煙開始年齢、終了年齢、一日当たりの喫煙本数等を聴取した。幼児の尿を用いてコチニンの測定を行った。これらの情報から、幼児期のたばこ煙への暴露を詳細に割り出した。アレルギー疾患の罹患の関する情報は、上記と同様に評価した。 愛知県の小学生を対象にした調査では、幼稚園調査と同様に、現在のたばこ煙暴露の情報を得るとともに、母親から妊娠中の喫煙状況(喫煙期間、喫煙本数)についても聴取した。アンケートにてアレルギー疾患の既往や現症を聴取した。早朝尿を採取した。 尿中コチニン値と質問紙で評価した受動喫煙との関連性を評価したところ、高い関連性が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
岐阜市において妊婦と出生児のコホート調査を行った。妊娠中のアンケート情報、妊娠中・出産時の母体血・尿、臍帯血が収集された。妊娠中の母体尿を用いてコチニンの測定を行った。アンケートでは、妊娠中の母の喫煙状況が聴取された。出生した児の追跡調査では、アンケートにてアトピー性鼻炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患の罹患の有無に関する情報を、病歴として既往や有病の状況を聴取するとともに、the International Study of Asthma and Allergies in Childhood (ISAAC)、the American Thoracic Society Division of Lung diseases (ATS-DLD) questionnaire for childrenなどの疫学調査で世界的に利用されている質問紙を用いて把握した。 愛知県の幼稚園児を対象とした調査では、アンケートにて、父親、母親、他の同居者の現在の喫煙状態に加え、喫煙開始年齢、終了年齢、一日当たりの喫煙本数等を聴取した。幼児の尿を用いてコチニンの測定を行った。アレルギー疾患の罹患の関する情報は、上記と同様に評価した。 愛知県の小学生を対象にした調査では、幼稚園調査と同様に、現在のたばこ煙暴露の情報を得るとともに、母親から妊娠中の喫煙状況(喫煙期間、喫煙本数)についても聴取した。アンケートにてアレルギー疾患の既往や現症を聴取した。早朝尿を採取した。 以上、疫学調査の実施、データ収集がおおむね予定通り遂行された。 また、幼児の尿中コチニン値は、両親の現在の合計喫煙本数、同居者の現喫煙者数と強い正の関連を示した(ともにp<0.001)。
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Strategy for Future Research Activity |
岐阜市における妊婦と出生児のコホート調査では、質問紙による情報収集と母体妊娠中の尿コチニン値の測定を行ったので、これらの情報から、母体の能動喫煙、受動喫煙、全体的な胎児へのたばこ煙への暴露を詳細に評価した。これらの胎児期のたばこ煙暴露と小児期のアトピー性鼻炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎の罹患リスクとの関連を評価する。一部の小児では、出生時の臍帯血IgE値が過去に測定されているので、これもアレルギーの指標として考慮する。 愛知県の幼稚園児を対象とした調査でも、質問紙による情報収集と幼児の尿コチニン値の測定を行ったので、これらの情報から、幼児期のたばこ煙暴露を詳細に割り出した。幼児期のたばこ煙への暴露状況とアトピー性鼻炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎の有病との関連を評価する。 愛知県の小学生を対象にした調査では、引き続き情報収集をすすめる。 胎児期と小児期のたばこ煙への暴露状況と小児期のアレルギー疾患との関連を評価する際には、様々な交絡因子の影響を考慮するよう心掛ける。質問紙では他に、兄弟姉妹、出生時情報、乳児期の栄養、乳幼児期の体格、病歴、生活習慣(睡眠、食事、運動)、父母の体格、病歴、学歴等の情報を聴取している。 今後も、得られた情報のデータ化、分析を続け、得られた知見について学会発表あるいは論文として公表していく。
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Causes of Carryover |
入力に関する雇用において、年度末に多少の誤差が生じた。この分は、今年度の雇用として利用される予定である。
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