2018 Fiscal Year Research-status Report
新医師臨床研修制度は医師分布を改善したか-人口地理指標・診療科・施設からの分析-
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16K09145
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
井上 和男 帝京大学, 医学部, 教授 (70275709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鹿嶋 小緒里 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 助教 (30581699)
松本 正俊 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 寄附講座教授 (40348016)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 新医師臨床研修制度 / 医師・歯科医師・薬剤師調査 / 医師分布 / 歯科医師分布 / 薬剤師分布 / 市区町村 / 人口 / 距離 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、29年度に引き続いて①3時点(1996年・2006年・2016年)のe-statで公開された医師調査データ、およびそれに加えて歯科医師、薬剤師データを地域相関研究デザインで分析、および②目的外使用申請した医師調査データを縦断分析(31年度実施予定)に備えて処理した。 ①については、主に歯科医師、そして医師について分析を行った。また、薬剤師については関連テーマで学会発表を行った。 歯科医師について: X軸に小人口市町村から人口累積順に、Y軸を累積歯科医師数(医療従事)としたGini係数は0.246(1996)、0.226(2006)、そして0.205(2016)と順調な低下を続けており、歯科医師では均等分布に向かっていることがわかった。距離的要素(都道府県庁と、市区役所ないし町村役場間)で見た場合、0.113、0.103、0.090とこちらも連続的に低下していた。しかし、人口5,000人以下の小人口自治体に限ると64/264自治体(24.2%)で歯科医師が不在であり、最へき地への歯科医師分布は期待されているほど起きていなかった。 医師分布について: X軸に小人口市町村から人口累積順に、Y軸を累積医師数(医療従事)としたLorenz曲線でのGini係数は、各々0.303(1996)、0.292(2006)そして0.295(2016)であった。また距離での分析では各々0.119(1996)、0.108(2006)そして0.116(2016)であった。1996年から2006年にかけて、Gini係数は低下しており、人口および距離指標でみた医師分布は改善していた。しかし、2006年から2016年にかけては再び上昇しており、医師分布は医師数増加にもかかわらず悪化していることが示唆された。これから、2004年に開始された新医師臨床研修制度はむしろ、医師偏在を悪化させた可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
医師分布の縦断分析において、各医師のデータと勤務市町村の属性(人口や距離など)を関連付けさせるのに手間取ったため、研究の延長申請を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
縦断分析のための処理はおおむね済んでいる。平成31年度は、前年度の予定であった医師調査の縦断分析を実行予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 縦断分析をするためのデータ処理で、年齢や勤務先など医師個々の情報が含まれる医師調査データと勤務市町村のデータ(人口など)を結合させるのに手間取った。また、3時点の市町村合併を、縦断調査に適合するように3時点のうち最後に合わせるように市町村コードと合併歴から処理をすることも必要であったためである。 (使用計画) 縦断分析を既に開始できる状況になっており、進行に必要な経費として使用する。また、学会発表も予定している。
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Research Products
(2 results)