2018 Fiscal Year Research-status Report
マイクロデータ等の統合データベースを用いた受療率の変化に関連する要因の探索と解明
Project/Area Number |
16K09160
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井出 博生 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 特任准教授 (80361484)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 特定健康診査 / 特定保健指導 / メタボリックシンドローム / ポピュレーションアプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
保健医療関係のマイクロデータを経時的に解析するという目的に沿って、平成30年度は以下の3点の研究を実施した。第一に医療保険者が保有する被保険者の特定健康診査の結果に関連するデータを取得し、被保険者が所属する集団の健康状態と個人の疾患(メタボリックシンドローム)の罹患の関連を、個人の属性、特定健診の検査項目および問診の結果で調整し、統計的に検討した。その結果、他の因子の影響を考慮しても、メタボリックシンドロームの該当者割合が平均よりも高い医療保険者に加入する非メタボリックシンドローム該当者のメタボリックシンドローム罹患リスクが約1.1倍高いことが明らかになった。これは個人の環境、特に周囲の人間の健康度が他の人の健康に影響を与えているということを示唆する結果であり、公衆衛生的な施策としてのポピュレーションアプローチの重要性を示すものである(Archives of Occupational and Environmental Healthに受理)。 第二に100万人超の被保険者を持つ医療保険者において7年程度の属性情報、医療・介護レセプトデータ、特定健診等の結果に関するデータの開示後に円滑に研究を進めるために、サンプルデータの開示を受け、データを検証した。あらかじめ分析利用が想定されておらず、マッピングに課題があること、他の公開データとの連結は可能であることなどがわかった。第三に、大規模な観察データを用い、準実験として生活習慣の改善による疾病予防を検討した。具体的には睡眠時無呼吸症候群を対象とし、その予防がメタボリックシンドロームの予防と重なることから、特定健康診査・特定保健指導の実施と睡眠時無呼吸症候群の罹患リスクの関係を調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では医療保険請求に関するデータ(レセプトデータ)を中心として、関連のデータを統合し、検証する計画だったが、データの取得が予定通り進捗せず、計画全体は1年の延長ということになった。また研究者の異動などによる研究テーマ実施の制約ため、医療受診に関連した検討から、特定健診・特定保健指導という予防・保健に寄りのデータ、課題で検討を進めることにした。当初予定通りには進捗していないが、ここまでの研究結果は英文学術雑誌に2報掲載または受理されている。データの取得が進んでいるので、最終年度にはレセプトデータを活用し、種々の方法による検討を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究者の異動、法令(個人情報保護法)の改正によって、研究に必要なデータの取得が一時的に困難になり、研究機関を延長する必要が生じた。ただし、関係機関との協議によって、平成30年度にのうちに改めてデータ取得手続および契約を取り交わすことができた。ただしデータの制約により、一部研究計画を見直して実施する。
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Causes of Carryover |
本研究の進捗の遅延はデータの取得が当初予定通りに進まなかったことによるものである。データの取得の目途は立ってきたので、本年度は研究への参加者を拡大し、分析を推進するために経費を使用する。
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Research Products
(2 results)