2016 Fiscal Year Research-status Report
医療機器安全管理体制の現状調査と標準モデル化に関する研究
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16K09162
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新 秀直 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90444091)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 医療機器 / 安全管理 / 医療機器安全管理責任者 / 臨床工学技士 |
Outline of Annual Research Achievements |
医療の高度化に伴い多くの医療機器が医療機関では使用されている。医療安全の確保のためには、医療機器の保守管理体制が重要であるが、医療機器の安全管理は各病院の力量に任され、どのように行われているか十分な研究がなされていない。2007 年度には改正医療法が施行され、医療機器安全管理責任者の設置が義務付けられたが、その役割や実務に関する課題が浮かびあがってきている。 本研究では、医療機器安全管理責任者を中心とした医療機器保守管理体制の実情の調査分析を行う計画である。今年度については、先行研究の文献検索及び病院を中心とした医療機器保守管理体制に関するアンケート調査の企画を行った。先行研究については、いくつかの文献で医療機器の安全管理に関してアンケート調査を行った文献があり、その内容を吟味し、今回の調査で行うアンケート内容を検討した。先行研究の調査では見当たらなかったが、今回の調査では、大型の放射線機器やいわゆる医療材料の管理などについても含めることとした。また、2013 年8 月に総務省から発表された、医療安全対策に関する行政評価・監視結果に基づく勧告では、定期的な研修を行うことが求められており、研修の実際等も含めた、様々な保守点検に関する課題を本アンケート調査で抽出し、医療機関で標準的に使用できるような解決策の検討を進める計画である。 アンケート調査の企画としては、送付医療機関の選定や住所録の検討、サンプルサイズや調査手法について、参考図書や先行研究を基に検討した。今回のアンケート調査は、全国の病院を対象とし、厚生労働省の医療施設動向調査の病院数データを基に病床数規模別に層化して比例割り当てを行い、無作為に抽出することとした。また、臨床工学技士が配置されている想定割合(30%)、調査の精度(15%)を仮定し、必要なサンプルサイズを検討した結果、最低400は必要であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
やや遅れていると評価した最大の要因は本研究で計画していた科研費の採用通知が平成28年の10月以降であったということである。当初の計画では、先行研究の文献検索やアンケートの内容の検討、またアンケート調査を実施するまで今年度に実施する計画であったが、実施まで至っていない。半年分の遅れを取り戻すために、計画的に研究を進めているところである。 一方で、当初計画していたアンケート調査内容を見直し、参考図書や先行研究を基に、サンプルサイズの設計や実施方法の吟味、調査対象医療機関の絞り込みなどを見直したため、想定より、アンケート調査実施までに時間が経過してしまった。また、サンプルサイズの見直しに伴い、アンケート送付対象病院を増やしたため、送付先データの入手や印刷業者の選定に時間が想定よりかかった要因もあり研究計画がやや遅れていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後については、早急にアンケート調査内容を確定し、夏ぐらいまでに、全国の病院から厚生労働省の医療施設動向調査の病院数データを基に病床数規模別に層化して比例割り当てを行い、無作為に抽出した病院に対してアンケート調査用紙の送付を実施する計画である。また、医療機器の専門家である臨床工学技士に対してのアンケート調査についても内容を吟味し、実施する計画である。これらの結果を集計・分析を行い、医療機器に関する保守管理体制の現状と問題点を明確にする計画である。また、アンケートから得られた一般的な医療機器や医療材料、大型放射線機器等の保守管理方法等の具体的な内容を分析し、保守管理体制の問題点や点検方法の問題点等を明確にすることで、医療機器の保守管理方法の標準化やモデルケースの構築を試みる。 さらに、分析したデータやモデルケースを実際の医療機器安全管理責任者や臨床工学技士にフィードバックすることで、臨床の視点からの問題点を明確にし、その解決策を模索する計画である。
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Causes of Carryover |
本研究で計画していた科研費の採用通知が平成28年の10月以降であったため、結果的に今年度の研究期間としては半年間足らずしかなかった。半年間という時間的な制約の中、文献調査やアンケート調査の企画を実施した。1年間の研究計画の中で、実施する計画であった、アンケート調査を実際に実施することができなかったため、次年度に繰り越す状況となった。また、旅費についても、参加予定であった研究会や学会が年度の前半に開催されているため、執行することができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
アンケート調査の実施のため病院住所録の購入やアンケート送付、回収などの通信費で60万円程度、また、関連の学会や研究会に参加、有識者へのヒアリングのための旅費として、40万円程度、アンケート調査の配布やデータ整理のための人件費や有識者への謝金として、60万円程度、さらに、インターネットを用いた一般市民、医療従事者へのアンケート費用として100万円の計260万円程度の使用を計画している。
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