2017 Fiscal Year Research-status Report
医療機器安全管理体制の現状調査と標準モデル化に関する研究
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16K09162
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新 秀直 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90444091)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 医療機器 / 安全管理 / 医療機器安全管理責任者 / 臨床工学技士 / 大型放射線機器管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度については、全国の病院への医療機器安全管理責任者の実務の現状と共に課題を調査することにより、病院内における医療機器の保守管理体制の問題点を明確にすることを目的としてアンケート調査を行った。 20問の調査項目を作成し臨床工学技士の配置や医療機器の管理方法、放射線機器や医療材料の管理や医療機器の研修に関する内容等、幅広く医療機器の安全管理に関する調査項目を作成しアンケート調査を実施した。 アンケート送付病院数については、昨年度の研究成果から、最低400病院必要であることが判明しているため、アンケート調査に必要な費用を勘案して、全国の病院の約半数程度にあたる4,000病院に送付することした。2017年11月1日から12月15日を締め切りとして、無作為に病床数別に抽出した全国4,000病院を対象に送付した。回答者としては、医療機器安全管理責任者もしくは医療機器の保守管理の実務担当者に回答いただくように依頼を行った。また、回答率の向上を目指して回答については、紙面での回答に加えて、アンケート回答用WEBページを作成し、電子的な方法でも回答できるようにした。 4,000病院中、郵送で723(17.7%)、WEBで305(7.6%)合計1028(25.7%)の回答を回収した。回収データを精査し、同一病院からの重複回答や既に病院から診療所に施設変更されていた医療機関等を精査して、967(24.2%)回答を分析対象として分析を行った。 回答者の属性としては、臨床工学技士(509回答:52.6%)からの回答が多く、次いで診療放射線技師(147回答:15.2%)であり、回答者の多くは医療機器安全管理責任者として任命されていた(627回答:64.8%)であった。100床未満からの回答が249回答(25.7%)であったが、送付割合と比較すると、回答割合が少ないため、今後詳細な分析が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
やや遅れていると評価した最大の要因は本研究で計画していた科研費の採用通知が平成28年の10月以降であったということである。本年度ではアンケート調査を行い詳細は分析を終了することが当初計画であったが、本年度では、アンケート調査を実施し、基礎的な分析は終了したものの、詳細な分析まで終了するには至らなかった。また、当初計画よりアンケート調査の回答サンプル数を多くしたために、結果的に分析作業に時間を費やすことになった。しかし、サンプル数を多くして今回の調査を実施することで、全国的な医療機器の安全管理に関しての課題も見えてきているため、今後の研究を進めるにあたり、重要なデータとなることが想定される。
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Strategy for Future Research Activity |
アンケート調査結果の分析を進め、臨床工学技士のいる施設、いない施設での分析、病床規模、地域等の分析軸を加えて、より詳細に調査結果の分析を進めて行く。また、分析を進めると同時に、グッドプラクティス事例や課題事例を抽出し、それに対しての要因分析を進めて行くとともに、可能であれば該当施設の見学や担当者のヒアリングを行いより実情に沿った医療機器の安全管理に関しての標準モデル化を検討する。 また、インターネットアンケートを用いて、一般市民、医療従事者に対して、医療機器の安全管理に関する認知度アンケート調査を行い、一般市民の理解、医療従事者の理解を収集することを検討する。得られた分析結果により、医療機器安全管理責任者の支援体制に関する提言や主要な医療機器の保守管理に関する提言、医療機器を安全に使用するための使用者教育に関する提言等を作成し、医療機器の標準的な保守管理体制のモデルケースを構築し、今後の医療機器安全管理責任者の役割、業務の方向性について提言することを目指す。
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Causes of Carryover |
本研究で計画していた科研費の採用通知が平成28年の10月以降であったため、結果的に初年度の研究期間としては半年間足らずしかなかった。今年度については、ほぼ計画通りの予算執行であったが、初年度分の予算を研究期間が短くなったために、次年度に繰り越す状況となっている。また、旅費についても、参加予定であった研究会や学会が東京近郊で開催されているため、執行額が少なくなった。さらに、当初謝金でアンケート送付やデータ入力を想定していたが、結果的には業者に委託したために、その他の執行額が増加した。最終年度では、インターネットアンケート料金(70万円)、データ分析費用(30万円)、旅費(20万円)、論文作成、英文校正、書籍代等(40万円)を執行することを計画している。
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