2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K09166
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
和田 雅樹 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (60297455)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 電子カルテ / 新生児蘇生 / シミュレーション / 医学教育 / 医療システム / チーム医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
出生児の約20%に蘇生手技が必要とされるが、その蘇生に関して正確な記録を作成することに大きな課題があった。本研究では、簡単な操作で新生児蘇生記録を作成することのできるシステムの開発を行っている。この蘇生記録システムはタブレット端末で操作可能なものとし、時間経過に沿って児の状態と蘇生手技を単純な操作で記録できるものとし、電子カルテとの連携もできるものとする。さらに、動画記録システムと連動することで、事後に振り返って蘇生記録を作成することができるものとする。 このシステムで作成された蘇生記録を分析し、抽出された課題の改善に取り組むことで新生児仮死の児の予後が改善することが期待される。さらに、蘇生記録システムを蘇生シミュレーションにも使用し、その記録をもとにデブリーフィングを行うことで、シミュレーション教育をより効果的に進められるようにすることが期待される。 以上のことを目的として、平成28年度にはプロトタイプの状態にあった新生児蘇生記録システムを最新の蘇生アルゴリズムであるCoSTR2015アルゴリズムへ改訂した。改訂版のソフトウェアをポータブル端末に導入し、操作性と不具合の有無について繰り返し検証した。また、蘇生記録システムと動画記録システムの連動に関しても検証した。何度かのバージョンアップを経て、平成28年度中に新生児蘇生記録システムは実用可能な段階となった。 平成29年度以降には実際の新生児蘇生を本システムを用いて記録し、記録の正確性を分析するとともに、蘇生の問題点の抽出を行い、課題解決対策を講じていく。さらに、本システムを新生児蘇生法講習会のシナリオ演習(蘇生シミュレーション)でも使用し、教育効果がより向上するかについても検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
蘇生記録入力システムの開発はほぼ終了し、現在はその動作確認を実際の蘇生時と蘇生シミュレーション教育時に行い、入力法の取得に努めている。それを踏まえ、若干のシステム改訂を行う可能性がある。 蘇生記録入力システムと動画記録システムを同時に動作させた場合に、使用するタブレット端末の性能によっては画面がフリーズするという不具合が生じることが明らかとなった。タブレット端末のメモリー容量の不足に由来する問題と考えられたため、メモリー容量を増やした上で、さらに動作確認を行っている。安定した記録を行えるようになってから、臨床と蘇生シミュレーション教育に本格的に導入する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度には、臨床現場における新生児蘇生を本システムで記録して、そのデータを蓄積していく。実際の蘇生記録を分析し、記録の正確性に関して従来の記録と比較検討する。そして、蘇生法を分析して問題点を抽出していく。想定される問題点としては、蘇生の妥当性、迅速性、医療連携、児のApgar Scoreの改善度などが挙げられる。また、動画記録システムを利用し、Apgar Scoreの蘇生時評価とその後の動画による事後判定の両者を比較することで、Apgar Score評価の客観性に関して検討することも予定する。 さらに、新生児蘇生法講習会の蘇生シナリオ(蘇生シミュレーション)時のシミュレーションを本システムを用いて記録する。シミュレーション記録が正確に残ると考えられることから、その記録をもとにしてデブリーフィングを行うことで、シミュレーションの教育効果を高めることができる可能性がある。 平成30年度には、臨床の蘇生記録の分析から抽出された問題点に関して、医師・看護師(助産師)により対策チームを編成して改善策を検討する。その改善策に取り組むことで蘇生課題を克服していくことができるかを、本システムを用いて検証していく。本システムのシミュレーション教育への効果に関しては、新生児蘇生法講習会の合格率の変化をみるとともに、その後のfollow upテスト(筆記、実技)を実施することで検討する。 上記研究に関する成果を学会にて発表するとともに、日本語、英語で論文化し学術雑誌で発表する。
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Causes of Carryover |
物品費として挙げていたタブレット端末がモデルチェンジをしたことにより、新たな機種を選定して購入する必要があった。蘇生記録システム、動画システムを作動させた際に問題が生じないかの確認を行う必要があり、予定台数よりも少ない台数の購入にとどめた。 さらに、旅費に関しては、招待講演の多くで学会・研究会からの実費支給があったため、本予算からの支出を抑えることができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に購入した記録用のタブレット端末の性能確認ができたため、予定していた台数の購入を次年度に行う予定である。 システム開発はほぼ終了したため、今後は臨床現場での実際の記録と新生児蘇生法講習会での利用を進めていく。その際に記録に伴う経費(プリンターインク、用紙、データ保存のための外付けハードディスク、他)が発生すると考えられる。また、データ解析のための統計ソフト、画像解析ソフトなどの購入が予定される。
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[Presentation] 蘇生記録を正確に、簡便に2017
Author(s)
和田雅樹
Organizer
第19回新生児呼吸療法モニタリングフォーラム
Place of Presentation
大町市文化会館(長野県大町市)
Year and Date
2017-02-17 – 2017-02-17
Invited
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