2018 Fiscal Year Annual Research Report
Control of nosocomial infections caused by bacterial contamination of medical equipments
Project/Area Number |
16K09183
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
林 俊治 北里大学, 医学部, 教授 (40260765)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 院内感染 / 医療設備の細菌汚染 / 医療機器の細菌汚染 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、医療設備および機器の細菌汚染によって起きる院内感染の調査を行い、その制御方法を確立することである。具体的には、各種の設備や機器の細菌汚染状況を調査し、それが院内感染の原因となる危険性の検討を行う。さらに、汚染の原因および汚染菌種を明らかにし、汚染の除去方法の確立を目指している。 2016年から2017年にかけては、大型の設備や機器を対象とした調査を行ってきた。2018年においては、やや視点を変え、医療従事者が日常的に持ち歩く小型の医療器具の細菌汚染およびそれらを介した細菌の伝播について検討を行った。具体的には、医療用粘着テープ、駆血帯、消毒薬携帯用のポーチなどの検討を行い、これらが高頻度に細菌に汚染されており、細菌を伝播しうることが明らかになった。 これらの中で最も興味深い結果が得られたのは医療用粘着テープであった。粘着テープは医療現場の様々な場面で用いられるにもかかわらず、法的には医療器具ではなく、単なる雑品である。しかし、粘着テープは細菌を巻き付けやすい性質を持っている。さらに、医療従事者の手指と頻繁に接触するため、その表面は皮膚の常在菌に高頻度に汚染されることになる。さらに、その汚染テープを患者の皮膚に貼付することで、細菌の伝播が起きることが判明した。テープの細菌汚染はその使用期間に伴い増加する傾向が認められた。 2018年におけるもうひとつの研究目標は、細菌に汚染された設備や機器から効率的に細菌を除去する方法の検討である。通常の細菌は消毒によって比較的簡単に除去できる。しかし、設備や機器を汚染する細菌の中には消毒薬に高度抵抗性の芽胞を形成するものがあり、これらの除去は非常に難しい。しかし、我々は芽胞の除去方法の検討を行い、物理的な拭き取りと高レベル消毒薬である過酢酸を併用することが、芽胞の除去に最も有効であることを明らかにした。
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