2018 Fiscal Year Research-status Report
中心静脈カテーテル関連血流感染症撲滅のためのケアバンドル予防策徹底とその教育
Project/Area Number |
16K09184
|
Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
萬 知子 杏林大学, 医学部, 教授 (40210801)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 潔 杏林大学, 医学部, 准教授 (10296717)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | カテーテル関連血流感染症 / 集中治療室 / 予防策 / 感染関連因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、重症系集中治療室(ICU)におけるカテーテル関連血流感染(CRBSI)を減らすために、医療従事者への血流感染予防策の教育を行い、血流感染症率の低下に寄与する因子を検証することが目的である。本大学病院ICUでは2013年7月から国内のCRBSIサーベイランスに参加し、多職種でCRBSI予防策に取り組んできた。今回、5年間(2013年7月~2018年6月)にわたるCRBSIの推移と感染に関連する因子を分析した。前向き観察研究である。感染率はJapanese Health-care Associated Infection Surveillanceへの登録データを記録した。血流感染に関係する可能性のある因子をカルテから抽出した。基本的なCRBSI予防策バンドルはチェックリストを使用し徹底した。介入策としては、予防策バンドルに加えてカテーテル挿入部位の皮膚のドレッシング材の工夫、三方活栓の使用時の消毒の徹底、感染防御専門看護師の定期監視などの対策を加えていった。 ICUにおいて1632例の中心静脈カテーテル挿入があり、当日に抜去した90例を除く1542例について解析した。CRBSIは63例であった。感染率の推移は3~6か月毎に、3.3、3.44、1.52、5.7、10.75、8.09、8.75、0、3.61、2.5、4、8.33、7.3、4.7、2.9、4.9であり、減少傾向にあるとは言えなかった。感染に関連する因子の検討では、段階的重回帰分析により、APACHEⅡScore、ICU滞在日数、カテーテル挿入日数、複数カテーテル挿入がCRBSIに関連していた。CRBSIはICU患者の重症度に強く影響を受けることが分かった。CRBSIの関連因子としては予想内ではあるが、この規模では国内で初めての報告となる。しかし、予防策の有効性が示されなかったことは今後の重要な検討課題である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集は予定通りに行われ、解析も行った。今後は研究結果を海外の学会に発表し、その後に論文作成を行うことで、1年延長した研究期間内に研究成果を公表する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
カテーテル血流関連感染(CRBSI)のサーベイランスとデータ集積のシステムは重症系ICUにおいては構築した。院内の他のICU, HCUにも進める。本研究の公表を、国内での多施設研究のあしがかりとし、施設間の交流を図る必要がある。また、当施設内でも結果を共有し、CRBSIの予防策について、さらに検討する必要がある。
|
Causes of Carryover |
当初、研究成果を最終年度の10月に開催されるアメリカ麻酔科学会での演題発表の予定であったが、この学術集会と本学の医学部の国際認証審査期間の予定が重なり、この審査に出席するため、アメリカの学術集会に参加不可能となった。そのため、次年度(2019年度)に開催の国際麻酔研究学会 (International Anesthesia Research Society)に発表することとした。併せて、次年度に論文投稿を予定しており、研究成果を広く公表したいため補助事業期間の延長申請を行った。
|
Research Products
(1 results)