2017 Fiscal Year Research-status Report
広島県下医療施設の抗菌薬使用数量と耐性菌分離率並びに分離株の性状に関する調査研究
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16K09194
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
佐和 章弘 広島国際大学, 薬学部, 教授 (70389104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 浩泰 広島国際大学, 薬学部, 教授 (30202386)
木村 幸司 広島国際大学, 薬学部, 准教授 (90389106)
小林 秀丈 広島国際大学, 薬学部, 講師 (70441574)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 薬剤耐性 / 院内感染管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
医療施設内で抗菌薬使用の適正化を図り、耐性菌の出現・拡大を防止することは、感染症制御にとって重要な課題である。本研究は広島県下の複数(5~10施設程度予定)の急性期型病院の主要な注射用抗菌薬の使用数量(抗菌薬使用密度 : Antimicrobial Use Density:AUD)、治療日数(Days of Therapy:DOT)及びAUDから算定される使用割合(Antibiotic Heterogeneity Index:AHI)を経月・経年的に調査し、臨床現場におけるmethicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)の分離状況との関係性について評価・解析することを目的とする。本年度は分離された薬剤耐性菌に対して遺伝子解析による型別分類法を確立する目的で、いくつかのMRSA標準株を用いてパルスフィールド電気泳動法(PFGE)ならびにStaphylococcal cassette chromosome mec(SCCmec)による型別分類法を実施した。その結果、今回調べたMRSA標準菌株のPFGEならびにSCCmec型は標準株の提供もとであるATCCが公開している遺伝子型と一致した。このことから、今回報告者が実施した方法によりMRSAの型別分類が実施できるものと考える。今後、臨床分離株でも同様の方法で型別分類を実施する予定である。さらに、医療施設における抗菌薬の使用状況に関する情報をもとに本研究成果を総合的に解析・評価し、調査対象となった耐性菌毎に各抗菌薬のAUD、DOT、AHIなどのカットオフ値を確定するなど、地域の医療事情の特性に合致する新たな抗菌薬管理プログラムの基盤を確立し提案する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度実施したパルスフィールド電気泳動法(PFGE)によるMRSAの型別分類法に加えて、本年度はSCCmecによる型別分類法を実施した。さらに、MRSA標準菌株を10菌株に増やして実施した。実験に使用した標準菌株はATCCより入手したS. aureus PFGE typing strainを用いた。PFGEの実施条件はアメリカ疾病管理予防センター(CDC)より報告されている標準化法に従った。遺伝子型別による系統樹の作成には分子系統樹作成ソフト(GelCompar II)を用いた。SCCmecによる型別分類法はY. Kondo (Antimicrob. Agents. Chemoth., 2007) らの報告に従いMultiplex PCRを実施した。その結果、今回調べたMRSA標準菌株のPFGEならびにSCCmec型は報告されている遺伝子型と一致した。以上のことから、報告者が実施した方法によりMRSAの型別分類が実施できるものと考え、今年度の目的は概ね達成できているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度、ATCCより入手したS. aureusについてパルスフィールド電気泳動法(PFGE)ならびにSCCmecによる型別分類法を実施した。今後、広島県下の複数の医療機関より薬剤耐性菌の提供を受け、その検体について上述の型別分類法を実施する。さらに、MLST(Multilocus sequence typing)やコアグラーゼ遺伝子による型別分類法も加え、より精度の向上を図る予定である。さらに、菌株の供与を受けた医療施設について抗菌薬の使用状況に関する情報を調査し、分離菌株の遺伝子型との関係について解析する予定である。
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Causes of Carryover |
研究が概ね順調に進んだこともあって、消耗品で少額の残額が生じた。
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Research Products
(1 results)