2018 Fiscal Year Annual Research Report
Unraveling mechanism for the remote effects of vascular inflammation on cognitive dysfunction using a mice model of abdominal aortic aneurysm
Project/Area Number |
16K09233
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
孫 輔卿 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 特任助教 (20625256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 公一 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任准教授 (50330874)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 慢性炎症 / 血管老化 / マクロファージ / 神経炎症 / 認知機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までは野生型マウスにおいて、自然老化(若齢:2~3ヶ月、中齢:12ヶ月、高齢:24ヶ月)や血管炎症により、神経細胞数の減少や活性化ミクログリア数の増加、さらに学習能力の低下(評価方法:モリス水迷路試験)が認められることを明らかにした。平成30年度は実際、海馬CA3領域内の神経細胞の減少やミクログリアの活性化がシナプス機能に影響を与えるかを検討し、学習能力と脳の情報処理能力との関係を調べた。具体的には電気生理学的測定法を用いて、細胞外電極によるフィールド電位記録によって神経細胞の活動を測定し、シナプスの応答を記録・評価した。まず自然老化マウスにおいては高齢マウスでシナプス活動の強さを表すfield excitatory postsynaptic potential(fEPSP)の立ち上がり相の傾き(slope)値が低下する傾向がみられた。さらに若齢と中齢マウスを用いて、大動脈瘤の誘導を行いシナプスの機能を評価したところ、若齢マウスでは大動脈瘤の誘導によりfEPSP slope値に変化は認められなかったものの、中齢マウスの大動脈瘤誘導群ではsham群に比べてfEPSP slope値が低下する傾向がみられた。このような高齢マウスや中齢の大動脈瘤誘導マウスで得られたシナプス機能の低下傾向は学習能力の低下と類似した結果であり、海馬のシナプス機能と学習能力が相関している可能性が示唆された。 さらに、老化促進マウスSAM(senescence accelerated mouse)の一系統で認知機能障害を呈するSAMP8に大動脈瘤を誘導すると、対照マウス(SAMR1)の群と比べて有意にfEPSP slope値が低下していることが分かった。これらの結果から海馬内神経細胞の減少やミクログリアの活性化がシナプス機能の低下に影響を与え、学習能力の低下につながることが明らかになった。
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Research Products
(10 results)