2016 Fiscal Year Research-status Report
補中益気湯によるMRSAの薬剤感受性の回復メカニズムの解明と治療への応用
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16K09251
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
南 正明 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (70418739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 利明 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 教授 (80326561)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 補中益気湯 / MRSA / 溶血毒素 / DNAアーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
補中益気湯によるMRSAの除菌効果に関する臨床研究では、脳神経外科領域におけるMRSA保菌者に対して、補中益気湯の投与によりMRSA陰性化が上昇し、また陰性化日数が短縮したという報告があるが、補中益気湯のMRSAに及ぼす影響について、細菌レベルでの検討はなされていない。本研究ではMRSAに対する補中益気湯エキスの薬剤感受性回復と病原因子抑制効果を検討した。名古屋市内の病院で分離されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌臨床分離株について、補中益気湯エキスを添加したLB寒天培地に塗布して、37℃で培養した。定期的に培地から細菌を一部回収して、オキサシリンに対する薬剤感受性をdisk diffusion法で評価した。細菌がオキサシリンに対して感受性になった臨床分離株について補中益気湯エキスに対する抗菌活性と病原毒素活性を、K-B disk を用いたdisk diffusion法で測定した。補中益気湯エキス添加培地によるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌に対するオキサシリン感受性は、日数に従って改善効果を認め、5日後でオキサシリン耐性から感受性に変化した。無処理のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌はオキサシリン感受性に変化を認めなかった。補中益気湯エキスによりオキサシリンに感受性となった菌株と野生株で、その他の薬剤感受性を比較したところ、ペニシリン、カルバペネム系、マクロライド系、テトラサイクリン系では感受性が回復したが、フルオロキノロン系では薬剤耐性化を認めた。また病原毒素については、DNAアーゼ、溶血毒素で抑制効果を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度予定の補中益気湯エキスによる耐性遺伝子脱落に伴うMRSAのタンパク質レベルでの変化の検討についての予想内の結果が出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度予定の耐性遺伝子脱落の作用をもつ成分の補中益気湯からの単離、同定と補中益気湯によるマウス鼻腔内MRSA感染実験による保菌の改善効果の評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
補中益気湯エキスによるMRSAの全遺伝子発現レベルの変化の検討がまだなされていない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次世代シーケンサーを用いたRNAシーケンス法で細菌の全遺伝子発現を解析する予定。
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