2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16K09253
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
上山 敬司 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50264875)
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Project Period (FY) |
2016 – 2017
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Outline of Annual Research Achievements |
耳鳴症患者の脳血流量は単一光子放射断層撮影(SPECT)により小脳で一過性に亢進し、耳鳴音量が増大する重症化に伴い、脳血流量が減少する所見を確認していたため、本研究では小脳での脳血流量を増大させる有酸素運動を負荷し、脳血流量が増加していることをSPECTで確認し、耳鳴の自覚音量が下がるか検討を行う計画であった。第一段階としてオージオメーターで測定した耳鳴の自覚音量が下がる有酸素運動を探索することを目的とし、重症耳鳴症患者1名に自転車エルゴメーターを用いた有酸素運動を1週間行い、介入前後の自覚する耳鳴音量が低下したことを確認した。また、活動量計による解析では、介入後2週間にて一過性に活動量が亢進しており、活動量の増加は、自覚または無自覚の苦痛の緩和によるものと考えられており、自覚する耳鳴音量が低下している可能性が考えられる。しかし、ビジュアル・アナログ・スケール(VAS)を用いた耳鳴の大きさや苦痛度はさほど変化を認めなかったため、耳鳴りの苦痛緩和には関係ないことが示された。このため、今後症例数を増やし、今回の有酸素運動が耳鳴症の自覚音量に有意に改善させるか検討を行う必要がある。本研究により、新たな耳鳴症の自覚音量を改善する可能性を持つ介入方法を示すことができた。耳鳴症の苦痛度は認知行動療法で改善することが報告されており、認知行動療法と組み合わせることで、重症耳鳴症患者の治療法につなげられる可能性が考えられる。
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