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2016 Fiscal Year Research-status Report

漢方治療による腎機能改善メカニズムの解明と臨床応用

Research Project

Project/Area Number 16K09259
Research InstitutionTokai University

Principal Investigator

新井 信  東海大学, 医学部, 准教授 (30222722)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 梶原 景正  東海大学, 医学部, 講師 (00204397)
中田 佳延  東海大学, 医学部, 講師 (40594578)
木村 穣  東海大学, 医学部, 教授 (10146706)
石井 直明  東海大学, 医学部, 教授 (60096196)
Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords漢方薬 / バイオマーカー / 慢性腎疾患 / 腎機能 / マウス
Outline of Annual Research Achievements

(1) 急性腎不全モデル動物の作製
実験動物は遺伝学的に確立されている近交系マウス(C57BL/6)を使用し、麻酔下でマウス腎臓の虚血・再灌流により急性腎不全モデルを作製した。腎虚血の時間や再灌流の時間を試行し、血清中の尿素窒素濃度(BUN)・クレアチニン濃度(Cr)といった腎障害により変動する血中マーカーを測定することにより、我々の急性腎不全モデルとして適切な実験条件を設定することができた。通常は片方の腎臓を摘出後、残りの腎臓を虚血還流するものであるが、それでは生薬の効能がうまく検討できなかったため、片側の腎臓を摘出せずに一方の腎臓を虚血再還流する実験モデルを開発し、生薬の効能を検討する実験モデルとして確立した。
(2) 急性腎不全モデルを用いた漢方薬の効果について
腎疾患に薬効を示すと報告がある代表的生薬「大黄」「黄耆」などについて、これら生薬を上記の急性腎不全モデルに投与し、血中代謝産物がどのような動態を示すかを検討した。その結果、黄耆投与したマウスでのみ、腎虚血再還流による急性腎不全の血中マーカーであるBUN, Crに変化が認められず、黄耆投与により急性腎不全症状が引き起こされず、正常状態が維持された可能性が考えられる。一方、大黄では健常マウスでBUNが低下することが認められたことから、急性腎不全によるBUNを改善したという結果には至らず、別の原因で一過性にBUNが低下した可能性も考えられた。本成果に関して、第67回日本東洋医学会学術総会(2016年6月4日:香川県高松市)で発表した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度の研究成果から、今後の研究展開を推進するために重要な知見を得ることができた。我々が研究目的にも述べているが、我々は慢性腎障害(CKD)の原因が長期にわたる急性症状の積み重ねによるという発症プロセスに注目し、その対処療法として漢方薬が重要な役割を果たす可能性を考えた。まず急性腎不全を実験的に発症させた実験モデルを作製することができ、この実験モデルの検討を踏まえて、漢方薬が慢性腎障害の発症を劇的に改善する可能性を追求するのではなく、漢方薬が慢性腎障害を引き起こす軽度の急性症状を改善するという仮説を検証できた。さらにその研究目的に合致した生薬が黄耆であることも明らかにできた。

Strategy for Future Research Activity

(1) 黄耆の急性腎不全に対する薬効の検討については、前年度に行った黄耆投与方法での急性腎不全の改善効果で、腎臓の組織学的または組織化学的検討により黄耆投与に改善効果が組織レベルで確認できるかを検討する。
(2) 生薬黄耆の投与方法に関する検討については、これまでのスポット的な投与方法とは異なり、少ない投与量で時間をかけて投与する方法で急性症状の発症が抑えられるかについて検討する。黄耆を含有させたマウス飼料を作製し、マウスに長期間投与させる。一定時間投与させたマウスを用いて腎虚血再還流実験を行い、マウス血清よりBUNやCRを測定してその効果について検討する。
(3) 生薬黄耆の投与により腎臓で発現変化する遺伝子の同定については、マウス腎臓より黄耆投与で発現変化する遺伝子を単離する。マイクロアレイ法により検討する。これにより黄耆に関わる遺伝子群の中から、リン酸化を踏まえた細胞内シグナル伝達系分子が捕らえられれば、黄耆に関連する機能分子をカテゴライズできるものと考える。これら同定された遺伝子の発現同定について検討し、黄耆による急性腎不全に関連する物質を絞り込む。

Causes of Carryover

当初はマウスの血液の生化学的解析を外部業者へ検査を考えていたが、学内施設で行えたため、予想以上に経費がかからなかった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

初年度から研究進行中である「漢方薬による腎機能改善遺伝子」の単離・同定について繰越金を使用する計画である。
腎疾患に対処する生薬「黄耆」を予め投与したマウスと「水投与」マウス(対照)を用いて、腎虚血再灌流障害による急性腎不全モデルを作製する。これらマウスから腎臓を摘出し、マイクロアレイ法を用いた網羅的な遺伝子発現解析によりコードされる腎臓の機能分子を同定する。単離された「漢方薬による腎機能改善遺伝子」の塩基配列からコードされるタンパク質を解析し、各種シグナル伝達経路や細胞内反応経路または細胞骨格などのどのようなグループに分類されるのかをコンピューター解析により検討する。血液の生化学解析が院内で行えるため、実験用マウスの数を増やし、より精度の高い成果を目指す。
また、今年度の実績を踏まえて、その成果を学会発表と論文作成でまとめる。

  • Research Products

    (1 results)

All 2016

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] ダイオウ投与によりマウス腎臓で発現するNa+-H+ exchangerの機能解析2016

    • Author(s)
      梶原 景正、新井 信
    • Organizer
      第67回日本東洋医学会学術総会
    • Place of Presentation
      香川県高松市 サンポートホール高松
    • Year and Date
      2016-06-04

URL: 

Published: 2018-01-16  

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