2016 Fiscal Year Research-status Report
オキサリプラチンの血液・神経毒性に対する人参養栄湯の臨床効果とその分子機構
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16K09267
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
元雄 良治 金沢医科大学, 医学部, 教授 (80210095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 大介 九州大学, 医学研究院, 教授 (00426652)
藤田 秀人 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (20401903)
牧野 利明 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 教授 (80326561)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大腸癌 / オキサリプラチン / 人参養栄湯 / 末梢神経障害 / 血液毒性 |
Outline of Annual Research Achievements |
HOPE-2として臨床試験を推進中である。2017年3月31日までに45例登録できた。現在追跡中である。末梢神経障害の予防効果については、グレード3に至る症例はなく、3例を除く42例で8サイクルの術後補助化学療法を完遂できている。 神経障害の解析では、マウスの冷痛覚および機械的刺激に対する反応閾値は、L-OHP投与から3~5日目にかけて低下し、人参養栄湯エキスはそれぞれの痛覚過敏が緩和した。ラット褐色細胞腫由来PC12細胞または初代DRG培養細胞に対して、L-OHPと被検薬物を添加したところ、L-OHP濃度依存的に神経(様)突起の有意な短縮が見られ、人参養栄湯を併用することで、有意な改善を示した。各構成生薬ではニンジン、カンゾウ、オウギに有効性が認められた。マウスの冷痛覚および機械的刺激に対する反応閾値は、L-OHP投与から3~5日目にかけて低下し、末梢神経障害の発現が認められた。In vitro実験系から有効性が示唆されたニンジンについてヒト成人10倍量濃度の熱水抽出エキスを投与することで、それぞれの痛覚過敏が緩和された。 血液学的解析では、マウスの骨髄細胞に対する人参養栄湯の添加培養により、miRNA合成に作用する酵素であるDroshaとDicerのmRNA発現が増加することが確認された。そこで、miRNAマイクロアレイ解析を実施して人参養栄湯添加によるmiRNAの網羅的な発現変化を評価した。その結果、検出されたmiRNAのうち65.3%が、コントロール群に比較して人参養栄湯添加群で発現増加していた。特に発現増加が顕著(コントロール群に比較して3倍以上の増加)であったmiRNAのうち、4種に関してリアルタイムPCR法による発現評価を行ったところ、hsa-miR-30b、26b、340において、有意な発現増加が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
症例登録がやや遅れているが、登録自体は進捗している。 神経学的解析では動物実験・細胞実験が順調にできた。人参養栄湯は、配合されている生薬のうち特にニンジンにL-OHPによる神経障害性疼痛緩和作用があり、その活性成分はPPD系ginsenoside類であることが示唆された。 血液学的解析でも遺伝子解析が進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
さらなる症例登録を進める。
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Causes of Carryover |
物品費が増え、その他(英文校正費)が発生したが、旅費が安くできたので、この額の次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
適切な物品購入及び成果発表等の旅費に使用する。
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Research Products
(7 results)