2017 Fiscal Year Research-status Report
自然免疫の機能低下を誘起する慢性ストレスの分子基盤の解明
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16K09271
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
船上 仁範 近畿大学, 薬学部, 講師 (70449833)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 慢性ストレス / 自然免疫 / 肺胞マクロファージ / 自律神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度のin vitoro実験において,慢性ストレス症状を示すSARTストレスマウスから採取した肺胞マクロファージは,貪食能及び炎症性サイトカインIL-1β,IL-6,TNF-α産生能が低下しており,自然免疫能が低下していることを見いだした。 今年度は,各種SARTストレスによる身体症状を改善することが認められているジアゼパムをSARTストレスマウスおよび正常マウスに連日投与し,慢性ストレスによる脳を介した自律神経系の破綻が自然免疫にどのような影響を及ぼすかをin vivo実験系で検討した。 その結果,SARTストレスマウスの低下した肺胞マクロファージの貪食能及び炎症性サイトカイン産生能はジアゼパムの連日投与により回復した。すなわち,慢性ストレス状態による自律神経系の機能異常が自然免疫機能の低下に関与していることが示唆された。次に自律神経系が関与していることから,迷走神経切除術または6-hydroxydopamine(6-OHDA)投与による化学的除神経を施したそれぞれのマウスを使用して,肺胞マクロファージの貪食能を検討した。化学的除神経を施したマウスの肺胞マクロファージは有意な貪食能の低下が認められたが,迷走神経切除術を施したマウスではその変化が認められなかった。in vitroおよびin vivo両実験系において慢性ストレス状態における肺胞マクロファージの自然免疫能が低下していることが示唆された。つまり,慢性ストレスによる交感神経緊張低下状態がの関与が肺胞マクロファージの貪食能低下を誘起することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で示したとおり,H29年度の研究目的は「慢性ストレス状態による自然免疫低下と自律神経系の関係」を検討することであった。 検討すべき項目に対する成果はすべて得られており,H29年度の目的はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度のin vivo実験により,慢性ストレス状態が肺胞マクロファージの貪食能低下に自律神経系,特に交感神経が関与することを見いだした。H30年度はこの肺胞マクロファージについて,貪食能低下に関与するシグナル伝達経路を詳細に検討する。 これらの研究について,得られた結果をとりまとめ,研究成果の発表並びに論文投稿を行う。
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Causes of Carryover |
(理由) 平成29年度に交付された直接経費はおおむね消費していると考えている。最終月に予定していた実験を実施する必要がなくなり,マウスの購入を取りやめ残額が発生した。 (使用計画) 来年度早々に実施する実験で使用するマウスを購入する。その他,来年度の使用計画に大幅な変更はない。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Enhanced Hyperthermic Responses to Lipopolysaccharide in Mice Exposed to Repeated Cold Stress.2017
Author(s)
Miyamoto T1, Funakami Y, Kawashita E, Tomita S, Nomura A, Sugimoto N, Saeki H, Miyazakia T, Tsubota M, Ichida S, Kawabata A.
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Journal Title
Pharmacology.
Volume: 99
Pages: 172-178
DOI
Peer Reviewed
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