2017 Fiscal Year Research-status Report
タコツボ型心筋症の発症機構の解明―心筋微量元素とストレス蛋白発現の関連
Project/Area Number |
16K09272
|
Research Institution | Osaka Health Science University |
Principal Investigator |
藤岡 重和 大阪保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (20319528)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺崎 文生 大阪医科大学, 医学部, 教授 (20236988)
宗宮 浩一 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (20319544)
森 禎章 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 教授 (70268192)
早崎 華 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 准教授 (90257866)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | たこつぼ型心筋症 / ストレス心筋症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、たこつぼ型心筋症10症例において、臨床像とその転帰を検討した。平均年齢77歳、男性2例(20%)、女性8例(80%)。病型は全例が心尖部型であり、心室中部型、心基部型、局所型は認めなかった。入院時の左室駆出率は平均53%であった。発症誘因は、身体的ストレス5例(50%)、精神的ストレス1例(10%)、誘因なく発症4例(40%)であった。自覚症状は、胸痛2例、胸部不快感1例、呼吸困難1例、意識消失1例、心窩部不快感1例、全身倦怠感1例であった。院内発症の3例は無症状であり、心電図モニター及び心電図検査(定期検査)におけるST上昇が本症診断のきっかけとなった。合併症は、1例が心破裂のため補助循環装置を必要とし、1例は完全房室ブロックのため一時的ペースメーカーを要した。予後は、全例で心機能は回復し、死亡例はなかった。 心電図所見では、ST上昇は6例(60%)でみられた。 ST上昇の総誘導数は平均4.8誘導であった。最大ST上昇度は、5例(83%)において4 mm以下で V2-4誘導で最大上昇度を認めた。1例で10mmのST上昇があった。経過中に陰性T波は7例(70%)に認めた。陰性T波の総誘導数は平均5.1誘導であった。一過性Q波は2例(20%)で形成された。J波は認めなかった。心破裂をきたした症例では、初診時心電図でI、II、III、aVF、V2-6の9誘導で最大10mm のST上昇があり、第10病日(心破裂発症日)で最大5mmのST上昇を認めた。 初診時心電図で、ST上昇を広範な誘導で認め、経過中にST上昇が遷延化する症例では、厳重な経過観察の必要性が示唆された。また、重症入院患者では無症状での発症もあるため、心電図検査を定期的に実施し早期に本症を診断することが重要と考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年に、本学解剖学・病理学研究室が閉鎖となり、学内施設で病理組織学的、分子生物学的研究の実施が困難となった。そのため、平成29年度は、たこつぼ型心筋症の臨床像、転帰に関する臨床研究を継続した。たこつぼ型心筋症に関する基礎研究は、現在関西福祉科学大学研究施設において進行中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、学外研究施設において、たこつぼ型心筋症モデルを用いた心筋微量元素の動態とストレス蛋白発現の関連に関する研究を進める。また、たこつぼ型心筋症の臨床像、病態、予後に関する臨床研究を継続する。特に、心電図解析によるST上昇の総誘導数、最大ST上昇度、ST上昇の期間、陰性T波の総誘導数、一過性Q波、J波の形成から左室機能、合併症、予後の予測が可能か検討する。
|
Causes of Carryover |
(理由) 学内施設において病理組織学的、分子生物学的研究の実施が困難となり、主要設備備品費、病理組織、分子生物実験関連の消耗品費の支出がなかった。 (使用計画) 次年度は、学外研究施設において当初予定の基礎研究を進める。当該研究経費は、病理組織、分子生物実験関連の消耗品購入に充当する。
|