2017 Fiscal Year Research-status Report
胃上皮性腫瘍におけるヘリコバクターピロリ除菌の脱腫瘍化誘導機構の解明
Project/Area Number |
16K09283
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
伊藤 公訓 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 准教授 (60325206)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | H. pylori / 除菌治療 / 胃がん |
Outline of Annual Research Achievements |
1) ヘリコバクターピロリ除菌後胃がんの表層部に出現する低異型度上皮の定義: ヘリコバクターピロリ除菌後発見胃がんの表層部に出現する特異的上皮に関して、我々の提唱するELA(epithelium with low-grade atypia)の定義を、日本消化器内視鏡学会誌で明確にした。混入した非がん部正常上皮は、non-neoplastic epithelium(NE)と定義し、その区分を明らかにした。この定義は、その後のELAの病態解析に必須の条件となる。
2)ヘリコバクターピロリ除菌後胃がんの表層部に出現する低異型度上皮に関する遺伝子解析: 上記ELAの由来を、除菌による胃腺がんの分化誘導、と仮定し、遺伝子変異解析を行っている。パラフィン包埋切片よりLASER capture法によりELA部分を選択的に切り取り、DNAを抽出した。さらに周囲正常組織、癌部からも同様の手順でDNAを抽出を抽出した。
3)ヘリコバクターピロリ除菌後胃がんの内視鏡診断法の確立: ELAを伴う除菌後発見胃がんは内視鏡的診断が困難である。そこで除菌後に出現する発赤陥凹に注目し、その臨床的特性を解析した。除菌治療により発赤陥凹は有意に高頻度に出現した。一方で除菌後発見胃癌は、60%以上で発赤陥凹様の形態を示した。通常の白色光観察では、発赤陥凹の生検陽性率は僅か2%程度であったのに対し、NBI拡大観察を使用することにより生検陽性率は43%に上昇した。この成果は、Digestion誌に投稿し、論文は受理された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ELAからのDNA抽出が困難であったが、解析可能なクオリティーのDNAを得ることができた。臨床研究も順調に進行しており、既に英文論文がpublishされている(Kotachi T, Ito M et al. Digestion 2018).
|
Strategy for Future Research Activity |
除菌後に出現する低異型度上皮が、がん組織由来のもの(がんの分化誘導により生じたもの)であることを実証するため、次世代シークエンサーでの遺伝子解析をすすめている。ELA,がん部、正常部の異同を検討することにより、その由来を研究期間中に明らかにしたい。CagA蛋白を標的とした免疫組織化学については、有用な抗体を検索中である。さらに、NBI拡大観察を用いない白色光を用いた内視鏡診断法を確立するための臨床研究を並行して実施している。
|
-
-
[Journal Article] Clinical Significance of Reddish Depressed Lesions Observed in the Gastric Mucosa after Helicobacter pylori Eradication.2018
Author(s)
Kotachi T, Ito M, Boda T, Kiso M, Masuda K, Hata K, Kawamura T, Sanomura Y, Yoshihara M, Tanaka S, Chayama K.
-
Journal Title
Digestion.
Volume: 98
Pages: 48-55
DOI
Peer Reviewed
-
-