2018 Fiscal Year Research-status Report
癌関連転写因子の標的非コードRNA解析による消化器癌病態の解明
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16K09285
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
井戸川 雅史 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00404749)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | lncRNA / p53 / ChIP-seq / 癌 / 転写因子 / non-coding RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
癌の約半数で変異が認められる癌抑制遺伝子,p53の転写標的となる長鎖非コードRNA(long non-coding RNA, lncRNA)を探索するために,p53欠失の癌細胞に対してp53を過剰発現させた系,および正常型p53を持つ癌細胞にNutlin-3a処理を行い内因性p53を活性化した系において,p53のクロマチン免疫沈降産物の次世代シーケンサー解析(ChIP-seq)を行った.その結果,両者で共通して2倍以上発現上昇を認め,かつ遺伝子近傍にp53の結合が認められるlncRNAが96あり,その中でNEAT1というlncRNAに着目して解析を進めた. ChIP-seqでは,NEAT1遺伝子の転写開始点上流約1500bpにp53結合を示すピークを認め,その領域に重なるp53結合モチーフを認めた.その部分の配列を用いたレポーターアッセイでは,p53による転写活性の上昇が引き起こされた.p53正常型の3種類の癌細胞にNutlin-3a処理を行い内因性p53を活性化したところ,定量PCRでNEAT1の発現が強く誘導されることが判明した,また,p53活性化時にNEAT1をノックダウンしたところ,p53によって引き起こされる増殖抑制が減弱した.その際の遺伝子発現をRNA-seqを用いて網羅的に解析したところ,NEAT1のノックダウンにより特定の遺伝子群の発現変化が認められた.また,NEAT1の発現と予後の関係について,大腸癌を含む3つのデータセットにおいて解析を行ったところ,NEAT1の低発現が予後不良と相関していた. 以上の結果から,p53によるNEAT1の発現誘導がp53の腫瘍抑制に寄与すると共に,p53とNEAT1が複雑な転写ネットワークを形成していることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,研究が進んでいるため.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果を論文にまとめるとともに,学会等で発表を行う.
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Causes of Carryover |
学内の共通機器の使用により,受託解析費用や消耗品費が抑えられたため. これまでの研究成果を論文にするための追加実験費用,投稿掲載料, および成果の学会発表のための旅費等に使用する予定である.
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[Journal Article] Screening for long noncoding RNAs associated with oral squamous cell carcinoma reveals the potentially oncogenic actions of DLEU1.2018
Author(s)
Nishiyama K, Maruyama R, Niinuma T, Kai M, Kitajima H, Toyota M, Hatanaka Y, Igarashi T, Kobayashi JI, Ogi K, Dehari H, Miyazaki A, Yorozu A, Yamamoto E, Idogawa M, Sasaki Y, Sugai T, Tokino T, Hiratsuka H, Suzuki H.
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Journal Title
Cell Death and Disease
Volume: 9
Pages: 826
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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