2016 Fiscal Year Research-status Report
小腸絨毛基底膜の「窓」の解析と小腸吸収評価システムの開発
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16K09303
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
横山 純二 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (70422615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺井 崇二 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00332809)
牛木 辰男 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40184999)
本田 穣 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (20643547)
川合 弘一 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (80419291)
佐藤 祐一 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (00401761)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 小腸絨毛基底膜 / 脂肪吸収 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
走査型電子顕微鏡(SEM)におけるラットでの小腸絨毛基底膜の窓の観察方法はこの1年間でほぼ確立された。ラットに高脂肪食を摂取させると、短期間の経過としてまず窓を介する自由細胞の交通が活発になり、その状態が持続すると窓の面積が増加することが解明された。窓の数自体は変化していないことから、新たな窓が形成されたのではなく、既存の窓が大きくなったと考えられた。脂質吸収の効率を上げるうえで、自由細胞によるこの窓の形態的変化が重要な役割を果たしていると予想されたが、SEMでは自由細胞の同定ができないことから、現在透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて自由細胞を同定し、食事によって出現する頻度を比較する検討を行っている。 一方、ラットにおけるこの現象が、ヒトにおいても同様に認められるかどうかの検討も同時に行っている。小腸内視鏡下にヒト十二指腸、空腸、回腸各部位から生検材料を採取し、SEMによる基底膜の窓の観察方法を確立中である。また、ヒト十二指腸粘膜の拡大内視鏡を用いた絨毛の観察も行っている。現在は小腸拡大内視鏡の使用も可能であり、十二指腸、空腸、回腸各部位での絨毛構造の違いについて観察、比較検討を行っている。各部位において、絨毛構造に違いがあることが明らかになりつつあり、解析をすすめている。 また、ヒト肥満をマウスで再現できるメラノコルチン4受容体(MC4R)ノックアウトマウスに高脂肪食を負荷し肥満を誘発した後、基底膜の窓を評価するため、マウス小腸における基底膜の窓観察方法についても現在確立中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラットでのSEM観察はおおむね予定通りにすすんでいる。ヒト生検材料からのSEM観察、基底膜の窓の観察手技の確立も現在すすめている状況。ヒト生検材料の採取については、学内倫理審査の通過と臨床研究保険への加入手続きが完了し、こちらも現在すすめている状況。まだ症例が4例と少ないが(目標20例)、今後症例を蓄積していく予定。
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Strategy for Future Research Activity |
ラットにおけるSEMでの小腸絨毛基底膜の窓の観察方法と高脂肪食摂取における形態学的変化については、論文化を予定。今後はTEMでの観察手技と、ヒト生検材料およびマウス組織での窓の観察手技の確立を目指す。また、ヒト拡大上部内視鏡、小腸内視鏡下での絨毛観察と生検材料の収集の症例をこの1年間で積み重ねていく。同時に肥満者と健常者との絨毛構造、基底膜の窓の相違についての解析もすすめていく。
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Causes of Carryover |
ヒトでの症例の集積がやや遅れているため、予定していた画像解析ソフトの購入をH28年度は見送った。また、生検材料の標本作成、免疫染色についてもまだ行っておらず、試薬代、人件費が発生しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H29年度は症例の蓄積とともに、絨毛構造の比較検討のため、画像解析ソフトを必要に応じ購入の予定。また、ヒト生検材料の集積に伴い、標本作成、免疫染色に伴う試薬代、人件費が必要になる予定。
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