2016 Fiscal Year Research-status Report
ケモカインと神経伝達物質による骨髄由来単球系細胞制御と炎症関連大腸癌の発症抑制
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16K09307
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
桝屋 正浩 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (30281083)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 単球 / 大腸 / 線維化 / CCR2 / MCP-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
CCR2RFP/RFP(CCR2KO)マウスとCX3CR1GFP/GFP(CX3CR1KO)マウスを交配してCCR2+/RFPCX3CR1+/GFPマウス(血液細胞をフローサイトメトリーで分析するとCCR2はRFPでCX3CR1はGFPで検出可能)を作成した。このマウスにアゾキシメタン(AOM)を腹腔内投与した7日後から1%デキストラン硫酸(DSS)を7日間飲水ボトルで投与し、14日間通常の水を与える処置を施す大腸炎モデルを作成した。そして大腸粘膜固有層 (LP)内に存在する単球系細胞におけるCCR2とCX3CR1の発現を検討した。DSS投与3日目(Day3)ではCCR2intCX3CR1high細胞とCCR2highCX3CR1int細胞がほぼ同数存在したが、Day9にはCCR2highCX3CR1int細胞が5-10倍に増加する一方、CCR2intCX3CR1high細胞はほとんど変化しないことが確認された。従って、この傷害モデルにおいてはCCR2high細胞の動向が重要であると考え、CCR2KOマウスの全骨髄細胞をC57BL/6Jマウスに移植したKOキメラマウスを用いて、AOM/DSS傷害下での大腸LP細胞をCCR2WTマウスの全骨髄細胞を移植したWTキメラマウスのそれと比較した。LP内に出現する総細胞数はWTキメラマウスと比較してKOキメラマウスで有意に減少し、特に単球由来細胞(単球/マクロファージ、線維細胞)は著減していた。そしてKOキメラマウスにおいては大腸の短縮が有意に抑制された。つまり、CCR2陽性単球ならびにその関連細胞が大腸線維化に重要であることが明らかとなった。また、DSS傷害WTキメラマウスの大腸の観察から、傷害の進行とともに腺管上皮細胞のみならず、LPに侵入した血液細胞由来の細胞からもMCP-1が産生されていることが観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に予定していたCCR2+/RFPCX3CR1+/GFPマウスを作成して大腸組織における血液細胞の解析を実施し、その結果に基づいて、平成29年度に実施予定であったCCR2KOマウスの骨髄をC57BL/6Jマウスに移植したCCR2KOキメラマウスも作成し同様の解析を行った。AOM/DSSによる大腸炎モデルでの大腸組織・血漿などは保存はできており、組織切片作成やmRNA抽出も実施しているが、蛍光免疫組織染色やreal time PCRを用いたケモカインや細胞外マトリックスの発現に関する解析は十分にはできていない。血漿を用いたケモカインの解析も着手できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
CCR2KOキメラマウスとCCR2WTキメラマウスにAOM/DSS傷害を与えてから一定の時期に、末梢血・骨髄・脾臓・大腸lamina propriaの細胞を回収する。各種抗体を用いて染色後、FACSAriaを用いて各種単球由来細胞(単球/マクロファージ、線維細胞)をソーティングしてmRNAを分離し、procollagen-I、α-SMA、TGF-β1、IL-6、IL-10, MCP-1, SDF-1αなどの発現を検討する。 次に、大腸lamina propria細胞から分離した単球系細胞(マクロファージや線維細胞)におけるセロトニンおよびアセチルコリン受容体の発現をフローサイトメトリー法を用いて検討する。 また、大腸癌組織(腫瘤形成部位)と炎症のない正常な腸管組織からmRNAと組織ホモジネートを抽出し、real-time PCRとELISAキットを用いてセロトニンおよびアセチルコリンの産生に関して検討する。
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[Journal Article] Circulating fibrocytes correlate with the asthma control test score2016
Author(s)
Kobayashi H, Naito M, Masuya M, Maruyama M, Urata K, Takahashi Y, Tomaru A, Fujiwara K, Ohnishi M, Takagi T, Kobayashi T, D'Alessandro-Gabazza C, Urawa M, Gabazza EC, Taguchi O, Takei Y
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Journal Title
Allergol Immunopathol.
Volume: 44
Pages: 191-196
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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