2016 Fiscal Year Research-status Report
脂肪酸代謝酵素SCD1に着目した炎症性腸疾患の病態解明並びに新規治療戦略の開発
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16K09308
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
稲富 理 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (70530351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 重樹 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (40422901)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | SCD1 / 脂肪酸代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
クローン病は腸管粘膜の慢性炎症を伴う難治性疾患であり、高脂肪食が病態の悪化に関与することが知られているが、脂肪食が惹起する腸管局所での炎症進展機序は未だ不明である。エネルギー源として重要である飽和脂肪酸は単体では炎症を惹起する細胞毒性作用を有し、反対に不飽和脂肪酸は抗炎症作用を有することが知られており、近年脂肪酸代謝と慢性炎症の関わりが糖尿病性腎症などの疾患で注目されている。本研究は腸管炎症局所における細胞内飽和/不飽和脂肪酸比と飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸に変換する酵素であるStearoyl-CoA desaturase-1(SCD1)に着目し、脂肪酸代謝を介した腸管の炎症制御機構の解明とSCD1を治療標的とした新たな治療法の開発を目的としたものである。現在までの実績として、(1)小腸上皮および筋線維芽細胞の培養細胞において飽和脂肪酸のパルミチン酸が炎症性サイトカインであるIL-6mRNAの発現を誘導し、不飽和脂肪酸のオレイン酸はそれらの発現を抑制すること。(2)高脂肪食を負荷したマウス大腸粘膜上皮においてSCD-1mRNA発現が対照群と比較して有意に亢進していること、などが明らかとなった。現在、これらの結果を基に遺伝子改変マウスの作製、炎症性腸疾患のコホートなどを用いた検討など進めていく方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腸炎モデルマウスの作成やヒト大腸筋線維芽細胞の単離といった研究手法はすでに確立できている。また、仮説の一部に基づいた研究結果が得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果を鑑み、遺伝子改変マウスの作製、炎症性腸疾患のコホートなどを用いた検討にてより臨床的意義・個別化医療の確立に向けた成果を目指したい。
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