2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of pathophysiology of inflammatory bowel disease focusing on fatty acid metabolism enzyme SCD1
Project/Area Number |
16K09308
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
稲富 理 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (70530351)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 重樹 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (40422901)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | SCD-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
クローン病は腸管粘膜の慢性炎症を伴う難治性疾患であり、高脂肪食が病態悪化に関与することが知られているが、脂肪食が惹起する腸管局所での炎症進展機序は未だ不明である。本研究では大腸炎と高脂肪食の関わり、不飽和脂肪酸変換酵素であるStearoyl-CoA desaturase-1(SCD1)とオートファジーの関与について検討した。 C57BL6マウスに3%DSSと高脂肪食を負荷することにより、DSS単独投与群と比較し、有意に体重減少及び大腸長の短縮を認めた。DSS+高脂肪食群では、組織学的に上皮の萎縮や炎症細胞浸潤を著明に認め、組織内のIL-17AおよびTNFα発現は増加傾向にあった。 次に高脂肪食負荷とオートファジーの関連性について、DSS腸炎では大腸上皮内でのLC3発現が有意に増加し、その作用はクロロキンの投与により増強した。一方高脂肪食投与によるLC3発現は増強せず、選択的オートファジー基質のp62 の蓄積を認めた。よって高脂肪食負荷により何らかの理由でオートファジー不全が生じ、腸炎の悪化を誘発している可能性が示された。 次にSCD1の関与を検討した。内視鏡下生検組織を用いた検討では、活動性クローン病患者の小腸上皮ではSCD1の発現が健常人と比較し低下していた。マウスを用いた検討では、高脂肪食負荷および3%DSS+高脂肪食負荷の両群において上皮細胞内のSCD-1の発現低下を認めた。一方、SCD-2の発現には影響を認めなかった。 これらの結果から、高脂肪食による腸炎悪化に粘膜局所のSCD-1が重要な役割を担っていることが示唆された。また、高脂肪食負荷によるオートファジー機能不全にまた、オートファゴソーム形成に必須であるとされるSCD-1が関与している可能性も示唆された。現在、SCD-1欠損マウスを現在作成中であり、DSS腸炎の感受性およびオートファジー誘導について今後検討予定である。
|