2017 Fiscal Year Research-status Report
潰瘍性大腸炎の腸内細菌と免疫応答の解明(抗菌剤併用便移植療法の確立を目指して)
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16K09328
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
石川 大 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30622675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 崇 順天堂大学, 医学部, 助教 (50723897)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 便移植療法 / 多様性の改善 / Bacteoridetes / 菌種レベルの解析 / key bacteriaの同定 / 抗菌剤併用便移植療法 / A- FMT |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年7月から開始した当臨床研究「潰瘍性大腸炎に対しての抗生剤療法と糞便移植療法の臨床研究」では20歳以上の活動性のある潰瘍性大腸炎の患者さんを対象にして、抗生剤療法(AFM療法)単独、便移植療法単独、そしてAFM療法と便移植療法の併用療法を行い、2018年3月の研究機関終了までに計138名の患者、50名のドナーが参加した。①抗生剤併用便移植療法による腸内細菌叢の変化が、潰瘍性大腸炎の治療効果と病勢に関連していること、②腸内細菌叢の大きな変化が高い治療効果に関連していることが明らかになり、便移植療法などの腸内細菌療法が、潰瘍性大腸炎の有効な治療法になりうる可能性を示すものであった。本研究結果は、米国の学術誌「Inflammatory Bowel Disease」(2017年1月)に掲載された。 当研究のポイントであるHSP60を使ったBacteoridetesの種解析では、多様性の変化や、実際にkeyとなる菌種の同定を進めており、抗菌剤併用便移植療法における菌種レベルでの変化をまとめ、現在論文投稿中である。 また、2017年度の研究報告については、国内(消化器病学会総、日本IBD学会集会など)、国外(ヨーロッパ腸炎学会、アメリカクローン、腸炎学会、国際粘膜免疫学会など)の学会で積極的に発表、報告を行った。2017年度では4月にアメリカ、シカゴで開催されたアメリカ消化器病学会週間において当科の便移植療法の臨床研究が注目研究として取り上げられ、動画が作成され放送された(DDW TV 2017)。また、他の分野の学会、研究会でも多くの講演や発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り順調に進展しており、論文発表や制作も行い臨床研究も継続中である。他の研究施設との共同研究も開始しており、多角的に便移植療法のメカニズム解明を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
抗菌剤療法による治療効果で、実際に便移植で腸内細菌は移植されたのかという根本的な疑問が残る。この点は便移植治療の最重要点といっても過言ではないが、腸内細菌の分析によりBacteroidetesの効率的な移植の証明を行った。そして、その回復に重要な特定菌種の同定を進めているが、いくつかの菌種については選択培養を始めた。本研究は、腸内細菌治療の根本のメカニズムの解明を目指すものであり、引き続き採血、組織検体からのサイトカイン、潰瘍性大腸炎に関与するリンパ球の解析も行い、便移植+抗生剤併用療法による腸内細菌叢の劇的な変化と免疫の反応についても多角的に研究する。
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Causes of Carryover |
2017年度では、共同研究が本格的に開始したことにより、共同研究施設での腸内細菌分析が可能になり、研究費用が抑えられた。今年度は、更に学会での発表や共同研究を進めるための情報収集に費用が掛かることが予想され、研究の推進のため有意義に使用する予定である。
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Research Products
(12 results)