2017 Fiscal Year Research-status Report
低分子量ストレス蛋白質、HSP22による原発性肝がんの増殖・転移能の分子制御機構
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16K09350
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小澤 修 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90225417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 一朗 帝京大学, 医学部, 教授 (00377673)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / 低分子量 / ストレスタンパク質 / HSP22 / HSP27 / HSP20 |
Outline of Annual Research Achievements |
ストレス蛋白質(HSP)は、熱や化学物質などのストレスにより細胞内に誘導される一群のタンパク質の総称である。一連のHSPはストレス応答に際し、生体防御機構の中心的役割を担い、細胞内で分子シャペロンとして作用すると考えられているが、一方、最近、分子シャペロン作用以外にも各HSP固有の作用が明らかにされつつある。私共は肝細胞がんの発症・進展の機序の解析を、がん細胞の細胞内情報伝達機構と低分子量ストレス蛋白質、特にHSP27及びHSP20との関連において着目し、既に、細胞増殖促進経路であるp44/p42 MAPキナーゼおよびAKT を抑制することで、HSP27及びHSP20が肝がん細胞の増殖において抑制的な役割を担う分子機序を明らかとしてきた。その解析の過程で最近、同じ低分子量ストレス蛋白質であるHSP22がHSP27と結合していること、加えてヒト肝がん組織においてHSP22が高発現していることを見い出した。これまでに私共はHSP20 が肝がん細胞において、MAPキナーゼスーパーファミリーの中でSAPK/JNKの細胞内情報伝達系を調節し、TGF-α刺激による遊走・転移能を制御していることを明らかとしている。また、HSP22が、TGF-α刺激による細胞の遊走・転移能を抑制的に制御していることを明らかとしている。しかし、肝細胞がんにおける低分子量ストレス蛋白質の役割の詳細は未だ明らかとされていない。本研究では、肝細胞がんにおいて恒常的に発現しているHSP22、HSP27およびHSP20の相互関係に注目し、その存在様式を検討した。その結果、HSP27はHSP22およびHSP20と独立して複合体を形成していること、また、HSP22とHSP20は複合体を形成しないことを明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝がん細胞において、低分子量ストレス蛋白質のHSP22(HSPB8)、HSP27(HSPB1)およびHSP20(HSPB6)の相互関係に注目し、HSP27(HSPB1)はHSP22(HSPB8)およびHSP20(HSPB6)と独立して複合体を形成していること、また、HSP22(HSPB8)とHSP20(HSPB6)は複合体を形成しないことを明らかとすることができた。これまでの私共の結果と今回の結果から、二種類の低分子量ストレス蛋白質の複合体が肝がん細胞の増殖・転移能を制御していると考えられ、この複合体の存在様式が新たな肝細胞がん治療の標的となりうる可能性を示唆することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
肝がん細胞の細胞遊走・浸潤における低分子量ストレス蛋白質の二種類の複合体、HSP27(HSPB1)・HSP22(HSPB8)およびHSP27(HSPB1)・HSP20(HSPB6)の役割を検討する。肝がん細胞の細胞増殖における低分子量ストレス蛋白質の二種類の複合体、HSP27(HSPB1)・HSP22(HSPB8)およびHSP27(HSPB1)・HSP20(HSPB6)の役割を検討する。
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Research Products
(2 results)