2018 Fiscal Year Research-status Report
RNAiスクリーニング法にて同定された肝癌における新規癌関連遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
16K09357
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高井 淳 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (80760587)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 肝細胞癌 / RNAiスクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度はGlobal RNAiスクリーニングの結果を参照し、EpCAM陽性肝癌細胞の維持に重要な遺伝子の候補としてPMPCBを選出し、PMPCB-shRNAがEpCAM陽性細胞の増殖を抑えること、PMPCBがミトコンドリア機能の維持に必須であることを示した。 平成29年度は、EpCAM陽性肝癌細胞および陰性肝癌細胞にPMPCB-shRNAを導入し、EpCAM陽性細胞でのみアポトーシスが誘導されることを示した。また、肝癌細胞Huh-1にPMPCB-shRNAを導入し、ヌードマウスに皮下移植したところ、アポトーシスが誘導され、腫瘍が縮小することが明らかとなった。 平成30年度は、EpCAM陽性肝癌細胞(Huh-1, Huh-7)にPMPCB shRNAを導入し、ミトコンドリア機能に及ぼす影響について検討した。細胞酸素消費速度、ATP合成能、活性酸素量を測定し、コントロール群と比較検討したところ、PMPCB shRNA導入群では、細胞酸素消費量の減少およびATP合成能の低下が認められ、活性酸素量は増加していた。以上より、PMPCB shRNAを導入することにより、ミトコンドリア機能が低下することが、細胞増殖に抑制的に作用している可能性が示唆された。 一方、EpCAMはWnt/beta-catenin pathwayの下流に位置する分子であることから、PMPCB-shRNAがWnt/beta-catenin signalingに及ぼす影響について検討したところ、shRNA導入群では同経路の活性が低下していることがluciferase assayより示された。その一方で、shRNA導入群におけるbeta-cateninの細胞局在はコントロール群と比較し変化を認めず、beta-cateninの転写活性を阻害する分子がPMPCB shRNAの導入により誘導される可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RNAiスクリーニングにより、PMPCBを肝癌幹細胞の維持に重要な役割を果たす分子として選出した。主に細胞実験により、PMPCB発現がミトコンドリア機能の維持とWnt/beta-catenin pathwayの活性化に関わっていることが示された。しかしながら、具体的な分子メカニズムについては不明な部分も多く、さらなる詳細な解析が必要と考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
PMPCBがWnt/beta-catenin pathway活性を維持するメカニズムについて、ミトコンドリア機能の観点より解析を進める予定である。また、肝幹細胞特異的にPMPCBをノックアウトするマウスモデルの作成についても継続する予定である。
|
Causes of Carryover |
RNAiスクリーニング法により同定された、肝癌における新規癌関連遺伝子であるPMPCBの機能につき、更なる解析が必要と考えられたため、補助事業期間を延長した。 次年度は、肝癌細胞を用いた細胞実験によりPMPCB発現と細胞増殖活性との関連を明らかにするほか、肝幹細胞特異的にPMPCBをノックアウトするマウスモデルの作成を継続し、創出した個体の表現型の解析を行う予定である。
|