2016 Fiscal Year Research-status Report
欠損型C型肝炎ウイルス変異による薬剤耐性獲得メカニズムの解明
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16K09358
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大鶴 繁 京都大学, 医学研究科, 講師 (60437225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 佳秀 京都大学, 医学研究科, 特定講師 (90378662)
小池 薫 京都大学, 医学研究科, 教授 (10267164)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | C型肝炎ウイルス / 欠損型ウイルス / 薬剤耐性 / 肝臓学 / ディープシークエンサー解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ディープシークエンサー解析を用いて、C型慢性肝炎へのインターフェロンフリー療法に伴う、欠損型C型肝炎ウイルス(HCV)と薬剤耐性化との関連性を明らかにすることにより、HCVの薬剤耐性変異獲得メカニズムを解明することを目的に、平成28年度より研究を開始した。 実際には、C型慢性肝炎に対するインターフェロンフリー療法症例の血清中HCVの治療開始前(A)・開始1週間後(B)・HCV再燃時(C)のディープシークエンサー比較解析により、解析①:インターフェロンフリー療法に伴うHCV薬剤耐性変異及び多様性の変化、解析②:インターフェロンフリー療法再燃例におけるHCV薬剤耐性変異の変化、解析③:欠損型HCVの動態とその薬剤耐性変異の変化、以上の3点を平成30年度までに明らかにすることを目指している。 平成28年度はまず、京都大学病院及びその関連病院での75歳以下のgenotype 1b C型慢性肝炎に対するインターフェロンフリー療法;アスナプレビル(NS3阻害薬)+ダクラタスビル(NS5A阻害薬)104例のA,B,Cの3点における血清検体を用い、解析①、解析②を開始した。なお研究分担者の上田は、本研究への助言及び検体収集等学内における連携調整を、さらに研究分担者の上田・小池は、ディープシークエンサー解析データの分析・評価を担当している。 まず血清よりHCV RNAを抽出後、NS3/4A・NS5A・NS5B領域に存在する既知のDAA薬剤耐性変異部位を増幅するように設定したHCVに特異的なプライマーにより、Ⅰ. RT-PCRを行い、次に同PCR産物を用いて、Ion Protonにより、Ⅱ. ディープシークエンスを行った。これにより得られた膨大なHCV遺伝子情報を、専用解析ソフトであるSoftGenetics 社製のNextGENeを用いて、現在、Ⅲ. データ解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では平成28年度に、解析①:インターフェロンフリー療法に伴うHCV薬剤耐性変異及び多様性の変化、及び、解析②:インターフェロンフリー療法再燃例におけるHCV薬剤耐性変異の変化を、インターフェロンフリー療法;アスナプレビル(NS3阻害薬)+ダクラタスビル(NS5A阻害薬)について行うことを予定していた。 従って、現在のところ、おおむね順調に進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に得られた結果を基にして、引き続き解析①②を行い、次いで解析③:欠損型HCVの動態とその薬剤耐性変異の変化の解析を実施予定である。 解析③では、血清中の欠損型HCVを検出し、同クローンにおけるDAAに対する既知の薬剤耐性変異の存在頻度を、完全型HCVと比較解析する。その結果、耐性変異が完全型と欠損型の主にどちらのクローンに存在するのか、またその特徴を明らかにする。 具体的には、上記症例におけるA,B,Cの3点の血清検体を用いてRNAを抽出後、欠損型HCVを検出するよう設定したHCVに特異的なプライマーを用いて、Ⅰ. RT-PCRを行う。次にPCR産物の電気泳動により、欠損型HCVに相当すると考えられる短いバンドが検出されれば、これを切り出し精製して、ダイレクト・シークエンス(サンガー法)によりこれを同定する。次に同PCR産物を用いて、Ion Protonにより、Ⅱ. ディープシークエンスを行う。解析①②と同様に専用解析ソフトNextGENeを用い、Ⅲ. データ解析を行う。欠損型HCVの有する薬剤耐性変異に関して、既知のDAA薬剤耐性変異部位についてその存在頻度を調査し、解析①②で得られた結果と比較解析し、欠損型HCV変異と薬剤耐性化との関連性を検証する。 またインターフェロンフリー療法再燃例に対し、A,Cの2点における血清検体を用いて、PCR増幅によるバイアス・リスクを抑え、ロングリードによりクローンの連続性が高精度に評価可能な第3世代シークエンシングを行い、インターフェロンフリー療法に伴うHCVクローンの動態を詳細に解析する。具体的には、第3世代シークエンシングは、千葉大学予防医学センター 臨床予防医学 オミックス解析応用学部門に委託し、PacBio RSⅡを用いる予定である。解析ソフトMEGA7やRにより、系統樹解析等の手法を用いて解析作業を行う。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していたディープシークエンサー解析用ソフト(米国 SoftGenetics社 NextGENe viewer)ですが、当機関内に共用できる上記解析用ソフトがあったため、本研究費を別の項目にて有効活用するために購入を見送った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記費用(約200,000円)を、平成29年度に計画している第3世代シークエンサー解析実験の諸費用(解析委託費、旅費等)に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)