2017 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム不安定性が解き明かす非アルコール性脂肪性肝炎の発癌ポテンシャル
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16K09362
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
赤澤 祐子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (80582113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 一彦 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (00264218)
中島 正洋 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (50284683)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 遺伝子不安定性 / 53BP1 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラット遊離肝細胞を用い低濃度の遊離脂肪酸で刺激を行い、53BP1蛍光染色にて53BP1フォーカス発現の有無を検討した。また、50人の正常およびNAFLD患者に対し肝生検標本における肝細胞の53BP1発現を検討した。53BP1核内フォーカス3個以上を異常フォーカス、直径1μmのフォーカスをlarge focusと定義し、検討を行った(Nakashima et al, 2008, Histopathology. 2011) 。さらに肝細胞内53BP1の発現と病理所見、臨床検査所見の比較を行った.
飽和脂肪酸200μmで刺激された遊離肝細胞では有意な53BP1フォーカス数の増加が見られ、脂肪酸によるDNA二重鎖切断が惹起されている可能性が示唆された。肝生検組織では、正常肝およびNAFLと比較し、NASH患者では有意に異常フォーカスおよびLarge focusが増加していた。53BP1のフォーカスは一部γH2AXとco-localizeしていた。NAFLD(n=40)の病理学的グレード分類(NAS score)の解析では、53BP1異常フォーカスは線維化・小葉内炎症・肝細胞の風船化スコアと有意な相関関係を示した。一方で、臨床検査所見では、53BP1異常フォーカス血小板数との有意な負の相関が見られたが,AST, ALT, フェリチン他の値とは相関しなかった。
結論:NASHおよび飽和脂肪酸により刺激された肝細胞において、DNA二重鎖切断が惹起されていることが示唆され、その様子は53BP1蛍光染色を用いてイメージング可能であった。53BP1はNAFLD肝における炎症および線維化と関連しており、将来発癌のリスクマーカーなどに有能である可能性があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitroでは脂肪酸による遺伝子損傷応答が見られ in vivo ではNASH患者において遺伝子損傷応答が証明できた。53BP1はNAFLD肝における炎症および線維化と関連しており、将来発癌のリスクマーカーなどに有能である可能性があると考えられ、おおむね目的は達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のNASH患者検体での検討の数を増やす。また、in vitro でDNA損傷応答が発生している機序を解明し、英文紙に投稿予定である。
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Causes of Carryover |
物品費が計画より安く収まり、コストを抑えることができた。次年度に、主要な研究を1種類繰り越したため、次年度の実験用物品に使用する予定である
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Research Products
(5 results)