2017 Fiscal Year Research-status Report
肝線維化からみた肝発癌メカニズムの解明と新規治療法の開発
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16K09365
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
野尻 俊輔 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (50381843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 裕 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (90285198)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肝硬変 / ATBF1 |
Outline of Annual Research Achievements |
引き続き実験は培養細胞と動物実験の両方を平行して進めている。ヒト星細胞(cell line LX-2)、ヒト血管平滑筋細胞(PCS-100)、を培養しcollagen I, PDGFR,HNF1, AFP,TGFβ,TNFα,PPARα、PPARγの各遺伝子発現を追加定量した。Western blotting法にて同様にたんぱく発現定量試みた。肝臓内皮細胞(HEC)においても同様にその遺伝子発現定量を試みた。 内皮細胞培養が当初うまくいかなかったが培養条件を変化させることにより培養自体は可能となった。VEGF刺激によるPDGF-BB産生の変化の観察は細胞が安定せずいまだ良い結果が出ていない。 またATBF1強制発現、siRNAによる発現抑制を星細胞、平滑筋細胞を使用し実験した。それぞれの状態でcollagen I, PDGFR,HFN1, AFP,TGFβ,TNFα,PPARα、PPARγの各遺伝子発現の変化を定量した。しかし強制発現系のデータは細胞状態が不安定で解析にはさらなる回数が必要である。 In vivo実験は現在loxP系で挟まれたATBF1 floxマウスを樹立した。Estrogen receptorによってCre酵素の発現誘導がかかる(Tamoxifen誘導型)CreERT2マウスと交配し作成した。しかし当初使用する予定のマウスでは生後2日目にStreptozotocinを皮下注し4Wから高脂肪食を与えNASH肝癌モデルを作成する方針であったがその後同マウスがNASHになりずらいことが判明したため他の高脂肪食NASHモデルラットでの実験を検討した。しかしそのようなラットでは発がんまでにかなりの年月を要するため現在数種類のモデルで実験検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
もともと細胞培養が不安定でありさらに強制発現系のベクターによる実験でのデータにばらつきがあり複数回の実験を要した。発現ベクターの再制作を数回試行して実験を続行したため時間が大きくかかった。KOマウスに関しては遅れ気味ではあるが順調に進んでいる。しかしNASHモデルから肝硬変になるモデルとして使用予定であったSTAMマウス(生後2日目のマウスにStreptozotocinを皮下注し4Wから高脂肪食を与え8週後から肝硬変などの状態となる予定)が我々および他の実験者で予想よりはるかにNASHになりずらく、また個体差が非常に大きいことが判明したため低確率で肝硬変となった場合実験個体個数が間に合わない可能性が出てきている。したがって現在他のNASHモデルを検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞培養は引き続き実験を継続する。発現ベクターはもともとかなりの毒性を持つことがわかっていたので,ある程度実験に難渋することは予想していたが予想以上に実験データが安定していない。再度トランスフェクションの条件や試薬の変更等を検討して実験を組みなおす必要がある。 NASH作成モデルに関しては市販されているものを含めいろいろあるがSTAMマウスの特徴はわずか8週で肝炎が完成し非常に早期に肝硬変、肝癌の出現がほぼ100%でできるという触れ込みであった。しかし実際はNASHが発症しないものや肝硬変にならないものがかなりの率で出ることが我々の他の実験で判明した。高脂肪食ラットを使用して肝硬変を作成する方向であったが,発がんに時間がかかり実験の進行に支障がでるため,CDAAマウスを使用して発がん実験を検討している。
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Causes of Carryover |
動物実験に関しては予定通りの発がんが得られなかったため本格的な試行はせず、本年度は主にin vitroの実験が主体となった。従って経費はほとんどが測定試薬にかかったものである。従って動物実験用に最終年度へ研究費をまわすこととしたため使用額に差が生じた。 旅費も最低限に抑えるため他の経費を当てたため少額に抑えることができた。 本年度は動物実験を主体に実験を進めていく予定である。
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