2017 Fiscal Year Research-status Report
肝再生不全克服に向けた機能肝細胞増殖機構に関する研究
Project/Area Number |
16K09370
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
滝川 康裕 岩手医科大学, 医学部, 教授 (50254751)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肝細胞 / 肝再生 / 急性肝不全 / 肝前駆細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
重症肝障害患者の血液中に含まれる肝臓の再生を抑える因子・促す因子を見つけることとその働く仕組みを明らかにすることを主な目的として研究している.また,再生が抑えられた状態で認められることの多い胆管のような構造物(偽胆管)に着目し,どうしてそのような構造物が現れるのかについても解析を進めている. これまで,臨床の研究から偽胆管を作る作用のある物質としてある因子A(仮称)が候補として挙げられたことから,現在,基礎実験で,因子Aが肝臓の細胞(肝細胞)の増殖と胆管の細胞(胆管細胞)の増殖のどちらを促すのか検討している. マウスの実験では,これまで標準的に行われてきた肝臓の2/3を単純に切り取る方法ではなく,電気メスで肝臓を傷つけながら一部切り取る方法を用いた.これにより,炎症を伴った肝部分切除になり,より臨床の肝障害に近い状態が再現された.この状況では,切開した部分に明かな偽胆管の形成を認めた.その周囲の環境を詳しく調べたところ,細胞の増殖は盛んになっており,また,炎症に関わる因子が増えていることが解った. この結果を受けて、因子Aの作用をさらに詳しく確認するために、培養肝細胞を使って、因子Aが細胞の性質を肝細胞から胆管細胞に近づける作用があることを明らかにしつつある。 以上の実験結果から,肝臓が障害を受けて修復する際,炎症が加わると,本来の肝細胞よりも胆管細胞が増殖しやすい環境に変化していることを想定させる。因子Aに代表される炎症が肝臓の再生不全の要因の一つであると推定された.今後、基礎実験により,炎症の因子が肝細胞の増殖抑制と胆管細胞の増殖促進を引き起こすメカニズムを研究する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床研究における肝障害とその治療法に関する研究は論文化ができた。基礎的研究での肝細胞への分化誘導因子の研究は仮説通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎的研究のデーター集積を中心に進め今年度論文化を予定している。肝細胞増殖抑制因子,胆管細胞増殖促進因子の候補について、マウス肝細胞株の分化誘導実験を行っている。さらに初代培養肝細胞でこの現象を確認し、論文化を進める予定。
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Causes of Carryover |
基礎実験で見込んでいた試薬消費量がやや少なく済んだため、平成30年度の検証実験に回すことができた。
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Research Products
(5 results)