2017 Fiscal Year Research-status Report
内在性遺伝子ターゲッティング法を用いた肝癌におけるp53アイソフォームの機能解析
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16K09381
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
中尾 春壽 愛知医科大学, 医学部, 教授 (60326139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 明伸 愛知医科大学, 医学部, 講師 (30438048)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | p53アイソフォーム / TP53遺伝子 / CRSPR/Cas9 / 内在性遺伝子改変 / 肝癌 / 細胞老化 / 細胞増殖能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画に基づいて以下の研究を実施している。
本研究課題であるp53スプライシングアイソフォームの機能解析として平成28年度にCRSPR/Cas9システムを用いた遺伝子ターゲッティング法により△40p53αおよび△133p53αの内在性遺伝子改変肝癌細胞株を作成し、①細胞増殖能、②細胞周期、③アポトーシスに関して解析することで、肝癌細胞における△40p53αの機能を世界で初めて解明し、その成果をJ. Cell Sciに発表した(J Cell Sci. 2017; 130(3):614-625)。今年度は△133p53αの機能解析およびスプライシングアイソフォーム同士の相互作用の解析を中心に行なった。その結果、△133p53は、△40p53と同様に肝癌細胞において細胞増殖を抑制し、細胞老化を誘導することが明らかとなった。また、スプライシングアイソフォーム同士の相互作用の解析を目的に新たな発現ベクターを作成し、現在、研究が進行中である。
さらに、in vivo実験系におけるp53スプライシングアイソフォームの機能解析をするためにWBN/Kobラット、Wisterラットを用いた実験を行ない、sacrificeによる検体採取が継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.平成29年度研究のために、平成28年度にすでに作成したTP53の内在性遺伝子をExon3から破壊したp53-/-内在性遺伝子破壊肝癌細胞株に加え、Exon4から破壊したp53-/-内在性遺伝子破壊肝癌細胞株を新たに作成した。また、N末の構造が同じp53アイソフォームだがC末の構造が異なるfull length p53α、full length p53β、△40p53α、△40p53βおよび△133p53αの相互作用を検討するために、EGFPまたはFLAG tagを挿入したfull length p53α、full length p53β、△40p53α、△40p53β、△133p53α、△133p53βを外因性に発現するvectorを作成した。これらを用いて解析した結果として△133p53αと△133p53βも△40p53と同様に肝癌細胞において細胞増殖を抑制し、細胞老化を誘導することが明らかとなった。各々のアイソフォーム間の相互作用に関しては、現在も解析中である。
2.p53スプライシングアイソフォームのin vivoにおける機能解析として、WBN/Kobラット、Wisterラットおよび線維化抑制剤を用いて実験を開始した。現在は、まだ全てのsacrificeによる検体採取が終了していないため、検体の解析はすべてのsacrificeが終了してから施行する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.△40p53α、βおよび△133p53α、βでの機能解析とスプライシングアイソフォーム同士の相互作用を解明するため、免疫沈降法やLuciferase assayで解析するとともにDNA arrayを用いてスプライシングアイソフォームが関連する分子に与える影響を検討する。
2.in vivo実験において採取した検体を解析し、p53スプライシングアイソフォームのin vivoにおける機能を検証する。
3.本課題における研究成果を国内・外の学会および英語論文にて発表する。
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Causes of Carryover |
in vivo実験としての動物実験が平成30年度にまたがるため。平成30年に検体を解析するための消耗品(試薬代金)としてに用いる予定である。
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Research Products
(1 results)