2017 Fiscal Year Research-status Report
肝癌由来増殖因子とヌクレオリンの機能解析による新たな肝癌治療の開発
Project/Area Number |
16K09383
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
榎本 平之 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (40449880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西口 修平 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10192246)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | HDGF / 肝細胞癌 / Nucleolin / アレイシステム / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
1. HDGFの肝癌増殖作用に関するmicro RNA解析:昨年度のmicro RNA検討に続き、本年度はHDGFタンパクによって誘導あるいは抑制されるmRNAについて検討を行い、アレイシステムでHDGFの刺激で変動するmRNAを同定することができた。今後micro RNAとmRNAの変動を統合して解析することによってHDGFの標的分子を同定し、肝癌増殖の機序の一端が解明されることも期待される。また標的候補のmicro RNAについては、実際の肝癌症例での発現検討も予定している。 2. HDGF抑制とSorafenibの併用による肝癌増殖抑制の検討:これまでにHDGFを抑制することで血管新生の抑制と抗腫瘍効果を生じることを報告した。またSK-Hep1細胞を用いてHDGFの発現抑制株によって、Sorafenibの肝癌増殖抑制効果を増強しうることを見出した。HDGFの発現を抑制したSK-Hep1肝癌細胞株とコントロール細胞を移植したヌードマウスにSorafenibを投与し、HDGFの抑制を行うことでSorafenib投与による抗腫瘍効果がin vivoでも増強されることを報告している。採取サンプルの解析を昨年度末より開始して、現在も継続中である。肝癌治療に対するHDGF 抑制の効果の検討に有用である。3. Nucleolin (NCL) と肝癌増殖に関する解析:NCL はHDGFの結合タンパクの可能性が考えられている。肝癌細胞株におけるNCLの発現について、細胞株を追加して確認した。HDGFによる肝癌増殖の機序解明のために重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度のmicroRNAの検討に続き、本年度はHDGFタンパクによって誘導あるいは抑制されるmRNAの変動についてアレイシステムで明らかにすることができた。またHDGF抑制とSorafenibの併用による肝癌増殖抑制の検討では、in vivo実験での腫瘍のサンプルの解析も継続している。またHDGFの結合タンパクとされるNCLについて、肝癌細胞株での発現検討を行うこともできた。本年度までの検討で同定されたmicroRNA肝癌症例での発現検討を予定することができた。これら新たな成果は得られたが、大学の施設移転に伴い共用実験設備が一定期間使用できなくなったこともあり、一部実験が次年度に持ち越しとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
HDGFの作用によって誘導あるいは抑制されるmicroRNAに加えて、HDGFの作用で変動するmRNAについてもアレイシステムで同定した。これらmicroRNAとmRNAの変動の統合解析により、HDGFの発現抑制による肝癌増殖抑制の機序を明らかにしたい。今後はこれまでの検討で同定された標的候補のmicroRNAについて、実際の肝癌症例での発現検討も予定している。なおNCLの中和抗体は以前より入手困難の状態が続いており、免疫染色やウエスタン・ブロットで使用可能な抗体での検討を継続する。
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Causes of Carryover |
大学の施設移転に伴い基礎研究棟の共用実験設備が一定期間使用できなくなり、一部実験が平成30年度に持ちこしとなったため、研究に必要な消耗品の購入に使用を予定している。 また近年は著者が出版費を負担し、読者は購読料を負担することなく論文を読めるオープンアクセスが増加していることより、成果を広く公開するために、論文出版費への使用も検討している。
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