2016 Fiscal Year Research-status Report
Mitophagy誘導によるNASH肝発癌抑制機構
Project/Area Number |
16K09384
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
原 裕一 川崎医科大学, 医学部, 講師 (60550952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁科 惣治 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70550961)
日野 啓輔 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80228741)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | NASH / ミトコンドリア / 鉄キレート / マイトファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の病態の一機序としてミトコンドリア障害と、それに起因する酸化ストレスが病態進展に重要な役割を果たす。またNASHにおいてミトコンドリアの修復機構であるmitophagyが抑制されていることが示され、ミトコンドリアに起因する酸化ストレスが持続、増幅される一因となると考えられる。そこで我々は鉄キレート剤を用いてmitophagyを誘導し、NASHの肝発癌抑制に有用か否かを検討した。 【成績】Huh-7への鉄キレート剤投与でmitophagyが誘導された。mitophagyの誘導により酸化ストレスは抑制されたが、Atg5をノックダウンすると、鉄キレート剤投与時にも酸化ストレスは増強された。ミトコンドリアの2価鉄の減少に伴いmitochondria ferritin(FtMt)が増加することを発見し、FtMtのノックダウンによりmitophagyは抑制されることも確認した。またFtMtがferritinophagyのカーゴレセプターとして知られているNCOA4と結合することを確認した。さらにFtMtとNCOA4のリコンビナント蛋白を作成し結合部位を同定するとともに、FtMtのミトコンドリア認識部位を排除するとFtMt が翻訳後ミトコンドリアに局在せず、mitophagyが抑制されることも確認した。2種類のNASHモデルマウスでDFP投与によりmitophagyが誘導され、肝脂肪化、最大腫瘍径、腫瘍個数ともに減少した。また肝のFtMtをノックダウンするとこの抑制は解除された。 【結論、考察】鉄キレートによるmitophagyの誘導にはFtMtの増加が重要であり、2種類モデルでミトコンドリア障害に起因する病態を改善させ肝発癌を抑制した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
二種類の培養細胞において鉄キレート剤によるマイトファジーの誘導及びミトコンドリアの品質に関する評価を終えることができた。またマイトファジーの誘導の際にミトコンドリア内の2価鉄が減少しミトコンドリアフェリチンが増加することでマイトファジーを誘導することを突き止め、その詳細な分子機構について解明できた。また2種類の脂肪肝から肝発癌をきたすモデルマウスにおいて、鉄キレート剤投与によりマイトファジーが誘導され、そのことにより肝発癌が抑制されることを明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
鉄キレートによりミトコンドリアフェリチンが増加する原因として転写因子であるSP1が発現上昇することにより、ミトコンドリアフェリチンのプロモーター領域に結合が増加することを突き止めたが、なぜSP1が増加するのか不明である。今後、SP1の核内移行やSP1の活性を調べることでその仕組みを明らかにしていく。 またヒトの組織によるミトコンドリアフェリチンとNSAHの病態の関連についての検討も同時に行っており、今後症例数をふやしていく予定である。
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Causes of Carryover |
現在進行中の実験について昨年度と今年度で1本ずつの論文作成を予定していたが、論文作成がやや遅れ投稿が昨年度中に間に合わなかったため。・
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在作成中の論文を仕上げ投稿および校正費用として計上する。
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