2017 Fiscal Year Research-status Report
Mitophagy誘導によるNASH肝発癌抑制機構
Project/Area Number |
16K09384
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
原 裕一 川崎医科大学, 医学部, 講師 (60550952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁科 惣治 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70550961)
日野 啓輔 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80228741)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | NASH / ミトコンドリア / マイトファジー / 鉄キレート |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】肝発癌をきたす病態において、ミトコンドリア障害に起因する酸化ストレスと、ミトコンドリアの修復機構であるmitophagyが抑制されていることが病態進展に重要であると考えられる。そこで我々は鉄キレート剤を用いてmitophagyを誘導し、肝発癌抑制に有用か否かを検討した。 【方法】In vitroの検討として肝癌由来の培養細胞に鉄キレート剤を添加し解析を行った。 In vivoにおいては2種類の肝発癌モデルマウスに鉄キレート剤を投与し検討を行った。さらにNAFLD患者32名の肝生検組織を用いて検討を行った。 【成績】Huh-7への鉄キレート剤投与でmitophagyが誘導された。mitophagyの誘導により酸化ストレスは抑制されたが、Atg5をノックダウンすると、鉄キレート剤投与時にも酸化ストレスは増強された。ミトコンドリアの2価鉄の減少に伴いFtMtの発現が増加することを発見した。またFtMtのノックダウンによりmitophagyは抑制されることも確認した。さらにFtMtがNCOA4を介してLC3と結合すること、及びFtMtとNCOA4の結合部位も同定した。またFtMtとNCOA4の結合は鉄負荷で抑制されることをが分かった。2種類の肝発癌モデルマウスでDFP投与によりmitophagyが誘導され、肝脂肪化、最大腫瘍径、腫瘍個数ともに減少した。また肝のFtMtをノックダウンすると酸化ストレスが増強するとともに、この抑制は解除された。ヒト肝生検組織においてはFtMtがmitophagosome数と相関することを確認し、線維化の進展とは逆相関することを確認した。 【結論、考察】鉄キレートによるmitophagyの誘導にはFtMtの増加が重要であり、2種類モデルでミトコンドリア障害に起因する病態を改善させ肝発癌を抑制した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
科研費申請時に実験計画に記していた内容はすべて検討を終え、現在論文作成をおこない、7月中には投稿予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
鉄キレートによりミトコンドリアフェリチンが増加する原因として転写因子であるSP1のミトコンドリアフェリチンプロモーター領域における結合能が増すことを明らかにしたが、なぜSP1が増加するのかがいまだ明らかではない。今後鉄キレートによりSP1が増加する仕組みをSP1の活性などを調べることにより明らかにしていきたい。 さらに我々の研究で明らかになったミトコンドリアフェリチンによるマイトファジー誘導機構やその効果について検討するためにミトコンドリアフェリチンを肝臓特異的にノックアウトさせたマウスを作成し検討する予定としている。
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Causes of Carryover |
(理由) 当該研究の進捗状況は順調であり実験計画に挙げていた実験項目はすべて終了し、当初の計画より安価に試行できる実験があったため (使用計画) ミトコンドリアフェリチンを肝臓にのみでノッダウンできるマウスモデルを作成し、そのフェノタイプについて検討する。海外学会出張のため、交通費を計上する。論文投稿のため、投稿費用を計上する。
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[Journal Article] 1.Wisteria floribunda agglutinin-positive Mac-2 binding protein predicts the development of hepatocellular carcinoma in patients with nonalcoholic fatty liver disease.2018
Author(s)
Miwa Kawanaka, Yasuyuki Tomiyama, Hideyuki Hyogo, Masahiko Koda, Toshihide Shima, Hiroshi Tobita, Akira Hiramatsu, Ken Nishino, Toshiaki Okamoto, Shuichi Sato, Yuichi Hara, Sohji Nishina, Hirofumi Kawamoto, Kazuaki Chayama, Takeshi Okanoue, Keisuke Hino.
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Journal Title
Hepatol Res.
Volume: 1
Pages: 13054
DOI
Peer Reviewed
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