2016 Fiscal Year Research-status Report
バソヒビンによる血管新生と肝線維化抑制が誘導する肝癌制御機構の解析
Project/Area Number |
16K09386
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
古谷 裕 国立研究開発法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, 研究員 (80392108)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | バソヒビン / 肝線維化 / 血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝癌により国内だけでも年間3万人が死亡し、100万人以上の患者がいる。これらの患者は一般的に肝線維化と肝硬変を経て肝癌へと進行していくので、はじめのステップである肝線維化を抑制することが重要となってくる。また、肝線維化と血管新生が並行して起こることが知られており、血管新生を抑制することにより肝線維化も抑制できると考えられる。当研究課題では血管新生を調節するタンパク質であるバソヒビン-1,-2の発現を調節することにより血管新生と肝線維化を抑制することを目的とした。 バソヒビン-1,-2発現細胞を同定するために、それぞれを特異的に認識するウサギポリクローナル抗体を作製した。抗バソヒビン-1,-2抗体のどちらもELISAにより抗原ペプチドを認識することを確認し、さらに組換えバソヒビン-1,-2蛋白質を用いてELISAを行ったところ抗バソヒビン-2抗体のみ認識した。更にウェスタンブロットにより抗バソヒビン-1, -2抗体の特異性を確認したところ、それぞれ組換え蛋白質を特異的に認識した。これらの結果から抗バソヒビン-1抗体は変性したバソヒビン-1を認識し、抗バソヒビン-2抗体は未変性と変性したバソヒビン-2を認識することが明らかとなった。野生型マウスを用いて胆管結紮による肝線維化モデルを作製し、これらの抗体を用いて発現細胞の解析を行った。抗バソヒビン-1抗体により中心静脈周囲の肝細胞が染色され、抗バソヒビン-2抗体により血管周辺の肝細胞と動脈内皮細胞と偽胆管が染色され、これらの細胞が肝線維化モデルにおける発現細胞と考えられた。また、バソヒビン‐2欠損マウスを用いて肝線維化モデルマウスを作製し、肝線維化と血管新生に対するバソヒビン-2の働きを解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
バソヒビン-1,-2欠損マウスを用いた肝線維化モデルマウスの作製と解析は順調に進んでいるが、発現細胞の同定に時間を要したため、過剰発現トランスジェニックマウスの作製がやや遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
肝線維化モデルマウスにおいてバソヒビン-1, -2が主に肝細胞に発現することが解ったので、肝細胞特異的に転写誘導するアルブミンプロモーターを用いて肝細胞特異的にバソヒビン-1, -2を過剰発現するトランスジェニックマウスを作製する。バソヒビン欠損マウスと過剰発現トランスジェニックマウスとを比較することにより、血管新生と肝線維化を調節する分子メカニズムを解析する。
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Causes of Carryover |
発現細胞の同定がやや遅れたため、これに伴いトランスジェニックマウスの作製を次年度に行うことにしたので次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
トランスジェニックマウスの作製を急ぎ、トランスジェニックマウス作製費用と遺伝子発現解析費用として使用する。
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Research Products
(7 results)