2016 Fiscal Year Research-status Report
膵前癌病変進行の閾値を司るヒストン修飾システムの解明と治療標的化戦略
Project/Area Number |
16K09390
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
立石 敬介 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20396948)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 陽介 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80466755)
水野 卓 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30771050)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 膵がん / エピジェネテイクス / エピゲノム / クロマチン |
Outline of Annual Research Achievements |
P48Cre:KrasG12Dマウスはp48プロモーター下で恒常的活性型Kras遺伝子を発現することで、生後早期からPanIN 病変を呈し、一年以上の経過で膵癌に進展することから、ヒト膵癌発生機序を模倣するマウスとして知られる。このマウスと数種類のクロマチン制御因子のKOマウスとを交配し膵癌発生進展への過程を検討した結果、ヒストンメチル化酵素Ehmt 欠損マウスでは膵癌前駆病変の進行が遅延することを明らかにした。通常のEhmt存在下では生後早期よりmetaplasia からPanIN 形成を呈し、生後一年までにはPanIN2-3、さらに一年以上経過すると膵癌で死亡するマウスが出現、その生存日数中央値は353日であった。一方でEhmt欠損マウスでは生存日数中央値は602日と、ほぼ通常の野生型マウスと同様であった。組織学的検討により、Ehmt欠損マウスではmetaplasia と早期のPanIN病変は見られるが以降のPanIN病変が形成されないことが明らかとなった。これらのデータはEhmtがマウス膵においてKras遺伝子変異存在下での腫瘍発生に重要な役割を果たしていることを示唆する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、正常膵からmetaplasia 病変、各grade のPanIN、最終的な膵癌病変に至る過程でのEhmt の発現の変化を検討した。 また実験計画に従って、P48Cre:KrasG12D Ehmt野生型あるいはEhmt欠損マウスの膵metaplasia 病変において、そのマーカーとして知られているSox9, Mint, Ck19およびAmylaseについて、定量的RT-PCRとそれぞれの抗体による免疫染色を用いて調べた。
|
Strategy for Future Research Activity |
P48Cre:KrasG12D Ehmt野生型あるいはEhmt欠損マウスの早期PanIN 病変において、増殖能や粘液産生能をKi-67 およびArucian blue 染色、MAPK シグナルの活性化評価により検討する。これから両者のPanIN1病変の質的差異の有無を解析索する。 またP48Cre:KrasG12D マウスにおけるPanIN 進行は炎症により促進されることが知られている。よってセルレインを生後6-8 週程度のP48Cre:KrasG12D Ehmt 野生型あるいはEhmt 欠損マウスに投与することで膵の炎症を誘導し、PanIN 病変の進行状況を解析する。これによりEhmt が炎症による前癌病変進行に役割を持ちうるかどうかを評価する。
|
Research Products
(1 results)