2017 Fiscal Year Research-status Report
膵癌細胞の浸潤に関わる低分子量 G タンパク質を活性抑制するペプチド配列の同定
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16K09397
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
岩崎 信二 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 准教授 (10232654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷内 恵介 高知大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (50626869)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 膵癌 / 低分子Gタンパク / Rhoタンパク / 浸潤・転移 / ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、癌細胞の浸潤転移を抑制する因子として同定したbinder of Arl Two (BART) タンパクが、低分子Gタンパクに対して特異的にGAP機能を持ち、さらに直接的にRho GTPase family に属するRac1とRhoAタンパクの活性調節を行うことで、GAP機能依存的に膵癌の浸潤転移抑制に関与する作用機序を、分子生物学的に解明する。将来の膵癌浸潤および転移を抑制する新規創薬のための基礎医学的知見を得ることを目的とする。 Rac1およびARL2由来GST融合タンパクを作成し、ヒト膵癌細胞株S2-013のライセートと混ぜ合わせて、S2-013に発現しているBARTと結合するアミノ酸配列を持ったGST融合タンパクをプルダウンした。その結果、BARTとRac1およびARL2との結合部位を同定することができた。BARTとRac1およびARL2との結合を阻害するペプチドを合成し、BARTとRac1およびARL2との結合を阻害するペプチドが、膵癌細胞の浸潤・転移能を変化させるかを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に予定していたBARTとRac1およびARL2との結合を阻害するペプチドが、膵癌細胞の浸潤・転移能を変化させるかの検討を終了することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
同定された配列が転移能に影響を及ぼすかを検討するためにマウス実験を行う。我々は、種々のヒト膵癌細胞をマウス膵臓に局注し、膵周囲への浸潤と肺・肝転移の有無を検討した経験がある(Cancer Res 2011)。同定したペプチドと同様のアミノ酸配列に相当するDNA断片を強制発現用ベクターpCMV6-Entryへサブクローニングする。サブクローニングしたプラスミドを膵癌細胞株S2-013とPANC-1へ遺伝子導入し、発現安定株を作成する。我々は、同様の方法で、別のタンパク質同士の結合を阻害する膵癌細胞の発現安定株を作成した経験があり(Mol Cancer Res 2011)、本実験でも強制発現されたペプチドが、BARTとRac1およびARL2との結合を阻害すると予想している。コントロールは空ベクターを導入した細胞を用いる。作成した細胞をマウス膵臓に局注し、6週間後に肺・肝転移の有無を検討する。これらの実験により、同定されたBARTとRac1およびARL2との結合部位に相当する配列が膵癌細胞の転移にとって重要な働きをしていることを確認できる。
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