2017 Fiscal Year Research-status Report
膵癌に特徴的な生体内切断で活性化される分泌・膜蛋白質を同定するペプチドミクス
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16K09404
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
佐々木 一樹 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (80260313)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 膵腺癌 / ペプチド / 限定分解 / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内で切断されて活性化する分泌タンパク質あるいは膜タンパク質は治療・診断の標的になりうる。本研究では、質量分析・ペプチドミクスの手法を用い、膵腺癌を対象に、そのようなタンパク質とその切断部位を同定している。ペプチドミクスの手法によるこのような同定法で要となるのは、分子量3,000を超えるペプチドの同定効率を高めることである。現在は、同定できる最大長のペプチドは、11,000 Daであり、全同定数の半数以上が分子量3,000を超えるようになってきている。本研究では、本邦で樹立され、血清依存性の低い膵腺癌2株の培養上清を重点的に解析し、その対照として不死化した膵管上皮の細胞株の培養上清の解析を実施した。現在までに、約50種類の分泌タンパク質・膜タンパク質が、膵管上皮細胞株に比較して発現が亢進していることを明らかにした。約3割については、既報の切断部位が同定できており、個別的ではなく、体系的な同定を可能にする本法の有効性が示された。また、数種類のタンパク質は、癌細胞で一般的に活性が亢進しているプロテアーゼで特異的な切断を受けたと推定される切断部位を有していることが明らかとなった。今後は、文献的調査を含め、膵腺癌に特徴的な切断を受けるタンパク質の選定を進めていく計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度で膵管上皮細胞の初代培養系の解析を予定していたが、共同研究者の異動などに伴い、その培養上清の調達が困難となった。膵管上皮細胞の培養系の上清の利用について別施設に相談中である。
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Strategy for Future Research Activity |
異なる施設から膵管上皮細胞培養系の上清の供与を受けるべく打診中であり、7月後半より解析を開始する予定である。また、癌細胞はそれぞれ固有の遺伝子異常を有することから、個々の細胞株における遺伝子発現情報に基づいたアミノ酸配列データベースを構築し、癌細胞に特異的な変異の同定を進める計画である。
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Causes of Carryover |
以前に調製した試料ならびに消耗品を使用で来たことが主な理由である。最終年度は研究計画の進行とともに全額を使用するべく計画を実行する。
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Research Products
(3 results)